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新しい概念糖尿病性腎臓病と糖尿病性腎症重症化予防プログラム

新しい概念糖尿病性腎臓病と糖尿病性腎症重症化予防プログラム

大畑 純一

(苫小牧市医師会・おおはた内科循環器クリニック)

糖尿病により腎臓障害が起こることはご存じでしょうか。現在年間39000人が新規に透析を必要としておりその約40%が糖尿病となっています。



現在厚生労働省は2028年までに新規透析導入患者数を35000人以下にしようと方策を試みています。
糖尿病性腎症とは高血糖により腎臓の血管が障害され腎臓の機能が低下してくる病気です。
初期では自覚症状もなく検査でも異常を示しません。
少し進行すると尿検査で蛋白尿が出現します。
さらに進行してくると蛋白尿が増え次に腎機能の指標であるGFR値が低下してきます。
GFR値が30を切ると腎不全と言われ15を切ると透析に移行する確率が高くなります。
症状は末期になるまでほとんど現れません。
また最近は尿蛋白が出ずに腎機能だけ低下してくるタイプの腎症も含め糖尿病性腎臓病と言うようになりました。
透析に至らないようにするためには何といっても早期発見早期治療です。
早めに糖尿病を見つけ適切な治療を受けHbA1c7%未満を保てば透析に至ることはほとんどないと言っていいでしょう。
そのためには病院で治療を受けているが血糖が下がっていない人の治療を強化することも大切ですがそもそも病院にかかっていない人や自分で気が付いていない人を見つけて治療を促すことが大切です。
厚生労働省では糖尿病性腎症重症化予防プログラムを策定し全国の各自治体で取り組むように促しています。
実際にそのような取り組みで透析患者を減らすことに成功した自治体もあります。
苫小牧市でもそのような取り組みが現在計画されています。
まず健診を受けていない方は年1回必ず健診を受けましょう。
糖尿病疑いと言われたけどそのままにしている人は病院に行きましょう。
糖尿病の治療を受けている人は定期的に尿検査をして尿たんぱくが出ていないか確かめることとHbA1cが7%未満になるように頑張りましょう。
今は腎臓を守る良い薬がたくさん出ているので尿たんぱくが出ている人や腎機能が低下している人は専門医に相談してください。

2019年08月14日 苫小牧民報 掲載

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