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Medical column とまこまい医報

とまこまい医報

形成外科の役割

形成外科の役割

吉田 哲也

(苫小牧市医師会・苫小牧日翔病院)

形成外科と聞いて、皆さんは何をする科かすぐに頭に浮かぶでしょうか?整形外科と言葉が似ているため、混同されることが多いようです。また「美容整形」という言葉もあるため、形成外科は「美容外科」が専門のように思われるかもしれません。もちろん、美容外科も形成外科の仕事のひとつではあります。交通事故などでできた傷や、残ってしまった傷跡を、なるべくきれいに治すのが形成外科のお医者さんというイメージでしょうか。さらに元々ある変形を、なるべく正常な状態に治すことも大切な仕事です。 これらの治療は、基本的に生命に関わることがないため、これまであまり重要視されていなかった傾向があります。しかし傷跡や変形は、患者さんの心に大きな負担となってのしかかります。 したがって可能ならば、傷跡や変形がなるべく残らないように治療してあげることが大事なのです。以前、やけどや擦り傷などは、乾燥させてかさぶたを作って治すことが常識でした。こうした乾燥療法は過去の遺物となり、最近では乾かさない治療(湿潤療法)が主流となり大きな成果をあげています。 その一方で、われわれ形成外科医をもってしても、「治りにくい傷」が増えてきています。それが近年急増中の、糖尿病などが原因による足の潰瘍です。これは不用意な処置をおこなうと、あっという間に壊疽に至ってしまいます。したがってこれら足潰瘍では、なるべく大切断にならないよう、他科の医師と協力して足を残すように努力しています。このように形成外科は、「傷をきれいに治す」だけではなく、「治りにくい傷を治す」ということもおこなっています。 そして持って生まれた、又はけがによる「見た目の変形」を治し、これにより成長過程に生じる「心の傷」を癒し、また事故などで不幸にして失ってしまった部分を形作ります。そして、皆さまがなるべく通常の生活が送れるように支援する ― 形成外科が「精神外科」とも呼ばれる所以です。形成外科は、実は縁の下の力持ちのような診療科でもあります。 このような形成外科的治療を、多くの方が受けることができると良いのですが、残念ながら、その状況には程遠いものがあります。実は全国にある医学部のうち、形成外科の実習をおこなっているのは約半数ほどしかありません。したがって、医師の中にも形成外科のことを良く知らないかたが多いのも事実なのです。 もし、気になる傷や傷跡ができたら、悩まずに早めに形成外科に相談することをお勧めいたします。

2010年07月13日 苫小牧民報 掲載

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