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Medical column とまこまい医報

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ジェネリック医薬品について

ジェネリック医薬品について

大岩 均

(苫小牧市医師会・王子総合病院)

我国は、急速な高齢化に伴い国民の医療費は年間33兆円を越えています。その約2割を占める流動費的位置付けにある薬剤費の抑制が大きな課題の一つであり、その要として「ジェネリック医薬品(後発医薬品)」の促進が注目されています。数年前からジェネリック医薬品という言葉をテレビや新聞で見聞きしているかと思いますが、ジェネリック医薬品とはどんな薬かご存知でしょうか。一般に医薬品には製薬会社が巨額な研究費と膨大な時間をかけて開発した先発医薬品と、一定の期間(20~25年)を過ぎ先発品の特許権が切れた後、別のメーカーが同じ主成分で製造したジェネリック医薬品とがあります。従って、全ての薬にジェネリック医薬品があるわけではありません。当然ジェネリック医薬品は研究費がかからず、臨床試験項目も少なく開発費も抑えられるため、価格が安く定められています。欧米では5~6割の普及率になっていますが、日本では17%程度と期待するほど進んでいません。ジェネリック医薬品の普及は、患者負担の軽減、医療保険財政の改善につながるため、政府は平成24年度までにその数量シェアを30%以上にするという目標を掲げています。しかし、日本で普及しない理由の一つは医療従事者側に、ジェネリック医薬品の品質や安全性に対し不安があるためです。主成分が同じなだけで先発医薬品と同じ薬ではないからです。つまり、同じ成分を同じ量含む薬であっても、果して、同じ量・同じ速度で体内に吸収され、同等な効果が期待できるのかという疑問です。また、ジェネリック医薬品価格が、先発医薬品の3~7割とメーカーにより大きな差が存在することも不安要因の一つかもしれません。こうした不安を払拭するため、厚労省はジェネリック医薬品も統一した基準で厳格に審査し、ジェネリック医薬品が先発医薬品と同レベルの品質、有効性、安全性を有していることを確認し製造承認を与えていることを広報しています。二つ目の理由は、薬局の在庫問題があります。一成分に30種類以上のジェネリック医薬品が存在するものもあり、全て在庫することは現実的に不可能で、医師が銘柄指定して処方しても、それを受ける薬局側の対応が極めて難しい状況になっています。こうした不安や問題が解決されれば、ジェネリック医薬品の利用が促進し、医療の質が低下することなく医療費の負担を軽減してゆくことが出来るのかもしれません。 皆さんがジェネリック医薬品を希望される場合は、かかりつけ医あるいは薬剤師によく相談してみてください。

2010年07月27日 苫小牧民報 掲載

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