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先天性サイトメガロウイルス感染症について

先天性サイトメガロウイルス感染症について

木原 美奈子

(苫小牧市医師会 ・苫小牧市立病院)

先天性サイトメガロウイルス感染症について

サイトメガロウイルス(CMV)は、先天性のウイルス感染症の中で最も頻度が高く、全出生児の0.32%に見つかっています。胎盤を介して胎児に感染し、体内に潜み、流産・死産、新生児の小頭症や発達遅滞、進行性の難聴などを引き起こします。

最近、先天性CMV感染症の診療において進歩が見られ、生後早期の抗ウイルス薬の投与によって予後が改善できることが分かってきました。それに伴って、感染した赤ちゃんを見逃すことなく診断することの重要性が増し、日本では生後21日以内の新生児の尿を使ったCMVのPCR法が保険診療でできるようになりました。

しかし、出生直後は無症状の遅発性発症例もあり、CMV未感染の妊婦さんの感染を予防することはきわめて重要と思われます。未感染の妊婦さんがCMVに感染することを防ぐための有効なワクチンはまだなく、先天性CMV感染症の赤ちゃんを少しでも減らすためにすぐにできることは、妊婦さんへの啓発です。

トーチの会(先天性トキソプラズマ&サイトメガロウイルス感染症患者会)では、下記のような妊娠中の感染予防11か条をホームページで公開しています。CMVだけでなく、トキソプラズマや他の病原体からも胎児を守り、感染症予防の全体像を把握できる内容になっています。

➀せっけんと流水で、しっかり手を洗ってください。

②子どもと食器を共有して食べ残しを食べるのをやめましょう。

③肉は、しっかりと中心部まで加熱してください。

④殺菌されていないミルクや、それらから作られた乳製品は避けましょう。

⑤ネコの汚れたトイレに触れたり、掃除をしたりはやめましょう。

⑥げっ歯類(ネズミの仲間たち)やそれらの排せつ物(尿、ふん)に触れないようにしましょう。

⑦妊娠中の性行為の際には、コンドームを使いましょう

⑧母子感染症の原因となる感染症について検査しましょう。

⑨B群溶血性レンサ球菌の保菌者であるか検査してもらいましょう。

⑩感染症から自分と胎児の身を守るために、妊娠前にワクチンを打ちましょう。

⑪感染している人との接触は避けましょう。

(新聞表記基準により一部改変)

妊婦さんやそのパートナー、ご家族と共に、先天性の感染症から赤ちゃんを「みんなで」守っていきましょう。

(参考文献)

先天性サイトメガロウイルス感染症の診療の進歩:診断の進歩 森内浩幸

乳幼児期に重度の発達遅滞と難治性てんかんを呈した出生時無症候性の先天性CMV感染症の1例 山上真祐子ら

サイトメガロウイルスワクチン 南修司郎

トーチの会ホームページ https://toxo-cmv.org

 

2023年03月14日 苫小牧民報 掲載

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