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Medical column とまこまい医報

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長生きと食べること・飲み込むこと

長生きと食べること・飲み込むこと

石田 健一

(苫小牧市医師会・苫小牧東病院)

ヒトは食事をするとき、目や鼻で食べ物を感じ、口に運び、よくかんでかたまりを作り、飲み込むという動作をほとんど無意識に行っています。この流れのいずれかに問題が生じることを摂食嚥下(せっしょくえんげ)障害と呼びます。この障害により栄養失調となるだけでなく、食べる楽しみを失い生活の質が低下します。また、食べ物が誤って気管・肺へ流れ込んでしまい、日本人の死因の第6位である誤嚥性肺炎を引き起こすこともあります。

これまで摂食嚥下障害の原因は多くが脳卒中でした。しかし、高齢化が進む中で筋力や感覚、認知機能の低下によって障害が引き起こされる患者さまが増えています。元気で長生きをするためには、安全に食事ができることも条件と言えます。

摂食嚥下障害を疑うサインは、「食事に時間がかかる」「食事中に何度もむせる」「上を向くように飲み込む」「次々と口にほおばる」「一口の量が極端に多い」などさまざまです。

また、普段の食事では気付かれずに、体重が徐々に減少することで発見されることもあります。過去に誤嚥性肺炎と診断されたことがある、脳卒中を患ったことがある、認知機能の低下が指摘されている方は特に注意が必要です。

当院では摂食嚥下障害が疑われる患者さまの検査・治療を行っています。口の中や喉、食道を外から観察することはできないため、必要な場合には嚥下造影検査を実施します。造影剤(バリウム)を混ぜたさまざまな硬さの食べ物を召し上がっていただき、放射線を使用してその動きを確認します。口の中や喉の食べ物の残留、気管への流れ込みの観察も可能です。

また、摂食嚥下障害に対する治療は多職種で行います。言語聴覚士をはじめとしたリハビリテーション、歯科医師による入れ歯の調整・口腔(こうくう)環境の改善、薬剤師による薬の副作用の検索などを依頼することもあります。

しかし、中には完全に治癒することが難しい場合も多くあります。そこで重要なのは、「いかに安全な方法で食事ができるか」ということです。食事の軟らかさを調整する、水分にトロミを付ける、食事の姿勢を変更する、お手伝い(食事介助)の方法を工夫するなども、摂食嚥下障害の治療の一つです。

食べること・飲み込むことは生命の存続に欠かせない活動です。当院では必要な栄養を摂取するだけでなく、楽しく・安全な食事を目指し、患者さまの診療に当たっています。

2022年11月30日 苫小牧民報 掲載

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