「筋肉リウマチ」ってどんな病気?
中林 透
(苫小牧市医師会・沖医院)
中林 透
(苫小牧市医師会・沖医院)
関節リウマチは手指や手首などの小さな関節をはじめとする多くの関節が炎症を起こすため、関節のこわばり、腫れや痛みを発症する病気です。関節リウマチは聞いたことがあるけど、筋肉リウマチは聞いたことがない、という方がほとんどだと思います。
筋肉リウマチの正式な病名はリウマチ性多発筋痛症で、男女比は1:2~3で女性に多く、50歳以上(平均70歳前後)の方に、急激に肩、股関節、殿部など体の中心に近い部分の筋肉痛やこわばりが起こる原因不明の病気です。
「〇月〇日に発症した」と明確に言えるほど、突然の急激な発症をする方が多く、片側の肩が痛くなり数日後に反対側の肩も痛くなるという経過をとる場合もあります。
主な症状は、痛みのせいで寝返りが打てない、両腕が上がらない、起き上がれないなどで、一般的な痛み止めで様子を見ていても改善せず、発熱やだるさ、長引くと体力の低下、体重減少、気分の落ち込みなどもおこってくることがあります。
血液検査では赤沈値の亢進、CRP値などの炎症反応の上昇が認められますが、レントゲンでは特に異常はなく、一方関節エコーで肩関節の滑液包炎を認めることがあり診断に役立つことがあります。
治療としてはステロイドの内服が有効で、多くの場合、10~20 mg/日のプレドニゾロンを使用します。ほとんどの方がステロイドを内服し始めると速やかに反応し、早ければ投与開始翌日、遅くとも3日程度で症状が改善します。ただステロイドを急速に減量したり中止したりすると、再び病気が悪くなりますので、医師に指示されたとおりに内服することが重要です。
高齢の方にとって重要なステロイドの副作用は、骨がもろくなる骨粗鬆症、骨粗鬆症による脊椎圧迫骨折の発生で、ほかにも糖尿病の悪化、コレステロールの上昇、高血圧、眼圧の上昇、白内障など多彩な副作用が起こることがあり注意が必要です。
高齢発症(50歳以上の発症)の関節リウマチ患者さんでは、首から肩へのこわばりが強く肩が上がらないという方もおられ、症状だけではリウマチ性多発筋痛症か関節リウマチなのか区別が難しいこともあります。
「リウマチ性多発筋痛症かも知れない」と思ったら、リウマチ科か膠原病科を受診してください。近くにこれらの診療科がない場合、整形外科の先生の中には、この病気がわかる先生が多いので、相談されると良いと思います。
2022年08月17日 苫小牧民報 掲載