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肥満と肥満症、どう違う?

肥満と肥満症、どう違う?

島野 雄実

(苫小牧市医師会・とまこまい北星クリニック)

  1. 肥満をめぐる変化

ここ最近では新型コロナウイルス感染症について、肥満の方や生活習慣病をお持ちの方が病状悪化のリスクがあるという話題を目にします。しかし、昔は肥満は裕福の証という時代もあったと聞きます。確かに肥満に対する意識は年々変化しています。日本では何よりも2008年から「メタボ健診(特定健診)」が始まったことにより、皆が肥満を解消した方が良いのではないかと意識するようになったのは大きな変革の機会でした。

【2】肥満と肥満関連疾患

日常的には肥満は外見で判断することが多いと思います。しかし、医学的には以下のようにBMI(ボディー・マス・インデックス)を算出して、その数値から肥満かどうかを判断します。

■ [BMI]= [体重kg]÷[身長m]÷[身長m]

■ BMI 25未満····正常  BMI 25以上···肥満 

BMI 25以上を肥満と判断するのは、肥満関連の病気に罹るリスクが高くなるためです。これら病気を肥満関連疾患と呼び、以下の11種類が知られています。

  肥満関連疾患

  1. 高血圧。2)糖尿病、3)脂質異常症、4)心臓疾患(心筋梗塞、狭心症など)、5)脳血管障害、6)脂肪肝、7)肥満関連腎臓病、8)高尿酸血症、9)睡眠時無呼吸症候群、10)婦人科系疾患(不妊症、月経困難症など)、11)整形外科系疾患(膝関節症、腰痛症など)

これらの11種類の病気以外にも、例えば大腸がんは肥満と関連することが知られていますし、他にも肥満に関連する病気は数多く存在するのです。

【3】肥満症とは

肥満の状態で、上の11種類のいずれかの病気に罹っていて、かつ、医療機関で「痩せた方がよい」と指摘される状態を「肥満症」と言います。これは、単なる肥満の状態(脂肪が蓄積した状態)とは異なり,病気として扱う、つまり、肥満は病気ではないですが肥満症は病気なのです。さらに、今はまだ肥満関連疾患に罹っていなくても、今後、肥満関連疾患が起きることが予測される場合はこれも病気としての「肥満症」と判断することとなっています。「病気が起きることが予測される場合」とはどういう場合なのでしょうか?内臓脂肪が規定より多い場合、これら病気の発病率が高いことから、内臓脂肪量で健康障害が起きやすいかどうかを予測するのです。具体的には腹囲で脂肪量を推測することとし、メタボ健診(特定健診)においても腹囲が男性85cm以上、女性90cm以上ある場合をハイリスク肥満とし、肥満を解消していただくようお伝えしています。

2022年07月27日 苫小牧民報 掲載

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