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前立腺癌の診断と治療

前立腺癌の診断と治療

執行 雅紀

(・苫小牧泌尿器科・循環器内科)

前立腺は男性の精液を作る臓器です。 50歳を超えると頻尿や尿が出にくいなどの症状で困り泌尿器科を受診する方も多く、その際に前立腺癌が見つかる場合があります。また最近では健康診断の血液検査で前立腺特異抗原(PSA)値の異常を指摘され受診される場合も多くなっています。

診断としては前立腺の肥大や炎症との鑑別のため、超音波などの画像診断と血液検査を行います。当院ではPSAの値が4ng/mlより高い場合で癌のリスクがあり検査を勧めています。検査は肛門から超音波機器で前立腺を確認しながら針を刺し、組織の採取を行なっています。

この検査で実際にどのくらい癌が見つかるのでしょうか。最近の結果ではPSAの値が4〜10 ng/mlで25-40%、10ng/mlを超えると70%に癌が見つかったと報告されています。受診した時すでに骨やリンパ節に転移があった患者さんは10人に1人程度です。

 次に前立腺癌が見つかった場合の治療法です。早期癌では手術治療か放射線治療により治る可能性が高く、最近ではロボットを用いた根治手術が苫小牧でも普及しています。手術した後でも癌の再発を認めて追加の治療を行う場合があります。

 その他にはホルモン治療があります。男性ホルモン(アンドロゲン)を薬などで下げることにより癌が小さくなる効果があります。高齢の方や、すでに転移がある患者さんに勧めており外来通院で治療可能です。

 早期発見治療のため50歳以上の男性なら年に1度の健康診断でPSA検査も行っていただき、異常があれば泌尿器科を受診するのが良いと考えます。

2020年08月12日 苫小牧民報 掲載

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