自律神経を整える
伊東 幸枝
(・苫小牧緑ヶ丘病院)
伊東 幸枝
(・苫小牧緑ヶ丘病院)
自律神経は、血管や内臓など全身を走行して、24時間、働いています。日中、活動する時に優位になる交感神経と休息する時に優位になる副交感神経が、自然にバランスをとっています。自分の意思では動かせません。交感神経が優位になると、心拍数、呼吸数、血圧が上がります。手足の末梢血管が収縮するので、血の巡りが悪くなり、冷え性になります。
交感神経は「闘争」と「逃走」の神経と言われます。狩猟採集の時代、私たちの祖先は、動物と戦ったり、逃げたりするのが日常でした。その時代の名残で、ヒトはどうしても交感神経優位になりがちなのです。動悸などは不安やストレスを感じたときの自然な反応です。ですから、緊張してドキドキしたときは、「交感神経が作動してるな。野生が残っているな」と、まず自分の体の反応を褒めてください。現代においても必要な反応です。しかし、交感神経が働きすぎるのは、いけません。夜はリラックスして休養をとることが大切です。
そこで今日は、自律神経の整え方を紹介します。体を整える、リフレッシュする、考え方の癖を見直す、の3つです。まず、「体を整える」ですが、朝は、カーテンを開けて日光を浴びましょう。リラックスすることを生活の中に取り入れましましょう。ストレッチ、散歩、入浴、好きな香りを嗅ぐなど、自分の好きなものを試してみてください。生活リズムが整うと、睡眠も整います。呼吸法も試してみましょう。呼吸することだけに集中して、ゆっくり深呼吸を繰り返すと、その瞬間は不安や悩みも感じないことでしょう。次に「リフレッシュする」ですが、笑う、大声を出す、動物と遊ぶ、趣味に没頭する、好きな動画を見るなど、好きなことで結構です。過度の飲酒は、NGです。肝臓に負担をかけますし、睡眠の質が悪くなります。3つ目は「考え方の癖を見直す」です。「事実は一つ見方は二つ」、もしくは三つ以上です。一つの状況を良くも悪くも捉えることが可能です。「一回失敗したから、もうお終い」「今の悪い状況がずっと続くんだ」と悲観的に考える癖はありませんか。見方のバリエーションを広げましょう。一人では視野が狭くなりがちなので、他人に話して別の考え方のヒントをもらうのもお薦めです。また、完璧主義や、物事に対し「こうあるべき」と考える頑なさはないでしょうか。
更に、ありがとう日記を(心の中で)つけると良いです。人に感謝すると気持ちが明るくなります。
最終手段としてストレスの元から離れることも有用です。それは、苦手な人と物理的、または心理的に距離を置いたり、環境を変えてみたりすること、または自分の中にある思い込みや前述した「べき思考」を手放すことです。
必要以上に悲観的にならず、不安にならない、を目指すより、身近な安心を探しましょう。出来ることをすることが大切です。
2020年07月15日 苫小牧民報 掲載