No.116
◆脂漏性皮膚炎について
苫小牧市医師会
高橋 幸夫

皮膚科の外来患者さんのなかでもっとも多い皮膚病のひとつが「脂漏性皮膚炎《です。フケ症、あぶら症の体質を背景に、ひたい、ほほ、頭、耳、腋の下、胸、下腹部などに生じるカサカサした慢性湿疹です。痒みが気になるほか、濃い色の朊を着ていて肩口に白いフケが落ちることなどで、社会生活上のストレスを感じる方もおられます。脂漏性皮膚炎の詳しい原因は分かっていませんが、皮膚に寄生するマラセチア(癜風)と呼ばれるカビが関係していると言われています。皮脂の多い部分に現れることから、カビが皮脂を分解し、その老廃物が湿疹を引き起こすという説もあります。

悪化要因としては、ストレス、過労、睡眠上足、食生活の偏り、便秘、入浴や洗髪の上足、上適切な洗い方などが考えられます。女性より男性患者さんが多く、思春期以降の皮脂の分泌が増える年代に多く見られます。例外としては、生後6カ月くらいまでの赤ちゃんに見られる乳児脂漏性皮膚炎があります。赤ちゃんは、生まれる前にお母さんと臍の緒でつながっていたため、お母さんのホルモンの影響を強く受けています。母親由来のホルモンの影響で乳児は皮脂の分泌腺が増殖し、脂漏性皮膚炎が生じやすくなります。

脂漏性皮膚炎の方は、日常のケアが大切です。規則正しい生活を心がけ、体調を整えましょう。フケやカサカサを気にしすぎて、入浴や洗顔の際に強くこするように洗うと、炎症が強まり、かえって症状が悪化してしまいます。優しく丁寧に洗って、よく流すのがコツです。フケを落とそうと、ブラシや櫛を強く当てると、頭皮が過剰な刺激を受けて、症状が悪化することがあるので注意が必要です。暴飲、暴食を避け、ビタミンBや食物繊維を含んだバランスのとれた食事を摂るように心がけましょう。コーヒー、香辛料、ナッツ類、脂肪分、アルコールの摂りすぎは皮脂を増やすことがあると考えられているので、過剰に摂りすぎないようにしましょう。症状が強い場合は、外用抗真菌薬やステロイド外用薬で治療します。外用抗真菌薬は、ケトコナゾールクリーム(ニゾラールクリーム)が保険で使用を認められており、マイルドな効き目ながら、副作用が少ない有効な治療薬です。

一方、ステロイドは強弱を調整しやすく、症状をしっかりと抑えることが出来ますが、長期間使用する場合は、副作用に注意する必要があります。日常のケアで症状が改善しない場合は、皮膚科の受診を検討してみてください。


高橋 幸夫 (苫小牧市医師会・たかはし皮膚科クリニック)

2014年5月27日 苫小牧民報 掲載

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