No.108
◆がん医療と緩和ケア
苫小牧市医師会
岩井 和浩

がんの患者数は年々増加傾向にあり、2人にひとりが一生のうちにがんにかかり、3人にひとりががんで亡くなっています。がんは死因の1位であり、人口の高齢化に伴いがん医療の一層の充実が望まれます。今回はがん医療の中の緩和ケアについて考えてみます。がん患者さんは、がんと診断されたとき、療養の途中、あるいは再発や転移がわかったときなど、さまざまな場面で「つらさ《を感じます。また、がんの療養中は、痛みや吐き気などの体の上調、気分の落ち込みなどの心の問題が患者さんの日常生活を妨げることがあります。これらの問題はがんの療養の経過中に、多くの患者さんが経験します。がん医療における緩和ケアは、がんに伴う身体と心の「つらさ《を和らげ、患者さんと家族が自分らしく過ごせるように、さまざまな場面へ対応をしていきます。

これまでのがん医療では、「がんを治す《ということに最大の関心が向けられ、患者さんの「つらさ《に対して十分な対応ができていませんでした。しかし、最近では、患者さんの療養中の「生活の質《も「がんを治す《ことと同じように大切と考えられるようになっています。「症状だけをなくしても、がんが治るわけではない《、「気の持ちようだ《と症状を和らげることに消極的な人もいますが、「緩和ケア《を早い時期から取り入れ、「つらさ《を軽くすることで、患者さんと家族の療養生活の質をよりよいものにしていくことができます。

緩和ケアを、がんの進行した患者さんに対する終末期医療と誤解し「まだ緩和ケアを受ける時期ではない《と思い込んでしまう患者さんや家族は少なくありません。緩和ケアは、病状にかかわらず、がん治療の中でより早い時期から受けることで、身体や心の「つらさ《を軽減させることが可能となる場合があります。緩和ケアは、がんの治療中かどうかや、入院・外来、在宅療養などの場を問わず、いずれの状況でも受けることができるようになってきています。緩和ケアを提供する機関としては、入院では緩和ケア病棟、緩和ケアチーム、外来では緩和ケア外来、在宅療養の場では、在宅療養支援診療所、訪問看護ステーションなどがあります。

緩和ケアについて話を聞きたい、緩和ケアを受けたいときには、担当医や看護師に声をかけてみてください。また、がん診療連携拠点病院のがん相談支援センターでも緩和ケアに関する情報を入手することが可能です。


岩井 和浩 (苫小牧市医師会・王子総合病院)

2013年10月15日 苫小牧民報 掲載

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