No.97
◆睡眠時無呼吸症候群(SAS)
苫小牧市医師会
山本 潤

睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome以下SASと省略)とは、大きないびきをかき、睡眠中に呼吸が停止してしまう病気です。いびきがうるさいと、隣に寝ている家族も迷惑です。また,睡眠中の酸素不足のため心臓に負担をかけ、高血圧・心臓病・脳卒中・糖尿病などを引き起こしたり、悪化させたりするので,寿命が短くなるということがわかっています。また、寝ている間に疲労がたまってしまうので、昼間にいきなり眠くなって交通事故を起こしたり、仕事の効率が悪くなるという問題が出てきます。また,小児のSASでは,集中力の低下・学習障害・成長障害・発達障害・夜尿症・胸郭変形などの原因にもなります。

SASの検査は小さな検査装置で簡単に測定可能です。寝ている間、小さな装置を腕か胸に巻き、鼻や指にセンサーをつけるだけで判定できます。検査装置を貸し出し、自宅で測定していただくことが出来る医療機関もあります。SASは多数の診療科で治療が行われていますが,無呼吸の大部分は上気道(特に咽頭部)の閉塞によるものです。上気道の診察は耳鼻咽喉科が専門ですので,この病気を疑う場合まずSASを専門的に取り扱っている耳鼻咽喉科での診察をお薦めします。耳鼻咽喉科を受診した場合ですが,まず鼻やのどを詳しく診察します。アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎(ちくのう)などで鼻づまりがひどい場合や、扁桃腺やアデノイドが大きい場合、のどが狭い場合などはいびきや無呼吸の原因となり、耳鼻咽喉科の治療で治ることがあります。

小児のSASの場合は,扁桃腺やアデノイドを手術で摘出・切除すると無呼吸は著明に改善する場合が多く,早期の手術が推奨されています。また,鼻づまりが原因でいびきやSASを生じている患者さんに対し、ラジオ波凝固装置(コブレーターやセロンという機械)による日帰りの鼻閉・鼻炎改善手術も有効です。ラジオ波凝固装置による鼻閉・鼻炎改善手術は痛みが非常に少なく効果が高いため、最近注目されている治療法です。

検査で無呼吸が重症の方には、CPAP(Continuous Positive Airway Pressure:経鼻的持続陽圧呼吸療法)という保険適用の治療機器の助けを借りることができます。これは強制的に鼻から空気を入れて気道を閉じないようにする装置で、SASの障害を取り除くことができます。 いびきが大きい方,日中眠気が強い方,疲れが取れにくい方,高血圧や糖尿病がある方は,SASの可能性があります。また,お子さんのいびきが大きい場合には,SASが見逃されている可能性もあります。心配な方はSASを専門的に取り扱っている医療機関にご相談ください。


山本 潤 (苫小牧市医師会・山本耳鼻咽喉科みみ・はな・のどクリニック)

2013年2月26日 苫小牧民報 掲載

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