No.96
◆終末期医療を考える
苫小牧市医師会
大岩 均

人が一生を終えるとき、その死が安らかであることを多くの皆さんが望むでしょうが、終末期における医療のあり方は実際にはかなり複雑なものとなっています。終末期というと、多くの方はがんの末期や生命維持装置が装着された状態などを想像するのではないでしょうか。最近厚生労働省(厚労省)が行った調査では、80%以上の国民が終末期医療に対して関心を持っていると答えていますが、延命治療について家族内で十分話し合ったことがある人は数%しかいないと報告されています。平成19年厚労省は「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」を公表しましたが、その後日本医師会などの団体や学会からも終末期医療に関するガイドラインや勧告が出されています。その中では終末期を急性型(救急医療等)、亜急性型(がん等)、慢性型(高齢者、認知症等)の三つのタイプに分けていますが、病気による特性、病気の進行状況の相違から一律に終末期としてまとめることは困難としています。

急性型では終末期を、脳死と判定された場合や生命維持が機械に依存し回復の余地がない場合などと定義していますが、治療者側の視点で構成された定義となっています。また、慢性型においては高齢者が終末期と判断されても、がんや脳卒中など疾患ごとの差異があり、余命を予測するのが難しいなどの課題が残されています。

したがって、厚労省、日本学術会議では亜急性型の終末期を中心としたガイドラインになっています。その内容は、医師等から適切な情報を受け、十分話し合い、患者本人による決定を基本として終末期医療を進めることを原則とし、医療の開始・不開始、変更・中止等は、医療・ケアチームで慎重に判断すべきだとしています。また、可能な限り早期から肉体的苦痛を緩和し、患者・家族を支える体制を作ることも重要だとしています。さらに、治療方針を決める際、患者の意思が確認できる場合はいいのですが、できない場合には家族の役割が重要になってきます。

もし、患者自身の意思表示書があれば、家族に意思表示書が有効であることを確認し、医療・ケアチームが判断することになります。このように、終末期医療の決定プロセスにおいては、患者、家族、医療・ケアチーム間での合意形成の積み重ねが重要となってきます。超高齢化を迎える日本において、適正な終末期医療のあり方を市民の皆さんや医療従事者が一緒になって考えて行く必要がありそうです。


大岩 均 (苫小牧市医師会・王子総合病院)

2013年1月29日 苫小牧民報 掲載

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