No.95
◆子宮頸がん
苫小牧市医師会
定免 裕子

子宮頸がんはがんの中で唯一、予防できるがんということをご存じでしょうか。子宮頸がんは子宮の入り口付近にできるがんで、女性特有のがんの中では乳がんに次いで2番目に多いがんです。近年20〜30代の若い女性の間で急増し、若い女性のがんの中では第1位となっています。全世界では毎年、27万人もの女性が子宮頸がんによって大切な命を失っています。日本でも、毎年約15,000人が子宮頸がんと診断され、年間3500人もの女性が亡くなっています。子宮頸がんは自覚症状がほとんどないため、からだの異変を感じ受診したときには、すでにがんが進行していることが多く、子宮やまわりの臓器を摘出しなければならなくなることがあります。

しかし、がんになる前の状態(前がん病変)やごく初期のがんは子宮頸部の異常な組織を取り除く手術(円錐切除術)で治すことができ、その後の妊娠も可能です。子宮頚がんの原因は、性行為により日常的に感染するHPV(ヒトパピローマウイルス)感染です。HPVは、すべての女性の80%が一生に一度は感染する、とてもありふれたウイルスです。感染の多くは免疫力により自然排除されますが1%未満の割合でがんに進行する可能性があります。子宮頚がん予防ワクチンは、このウイルスの感染を防ぐために開発されました。HPV感染はワクチン接種により60〜70%の割合で防ぐことができ、世界100カ国以上、1億人以上の女性たちが接種しています。

日本でも平成21年10月にワクチンが承認され、平成22年度より中学生を中心に各自治体による公費助成が始まりました。接種者数は急速に増加し、公費助成の対象となった中1〜高2生の約7割がすでにワクチン接種をうけています。

ワクチン接種と合わせて重要なのが子宮がん検診です。子宮頸がんは、ウイルス感染から癌化するまでに通常数年〜十数年と長い時間がかかるので、定期的な検診によってがんになる前の状態(前がん病変)を発見し、治療することが可能です。しかし、日本での検診受診率は20%前後と欧米平均の80%と比べてもかなり低水準であるのが現状です。ワクチン接種と検診による早期発見でほぼ100%の予防が可能といわれる子宮頸がん。あなたの子宮と命を守るために、若いうちにワクチン接種を、そして、1〜2年に一度の検診を欠かさずに受けましょう。


定免 裕子 (苫小牧市医師会・王子総合病院)

2012年12月25日 苫小牧民報 掲載

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