No.90
◆乳幼児健診とシャフリングベイビー(ズリバイする子)
苫小牧市医師会
我妻 嘉孝

私が苫小牧市の乳児健診に関わって30年が過ぎました。この機会に市の乳児健診で見られるシャフリングベイビー(ズリバイする子)につき簡単に記したいと思います。苫小牧市の乳児健診は出生体重2500gr以上の乳児は市内の小児科医院を中心とした乳幼児健診専門医(市医師会が認定した)で4、10か月に個別健診を受け、2500gr未満の低出生体重児は市が準備した集団の低体重児健診会場で小児科医師、保健師、理学療法士、栄養士等の専門スタッフによる健診を受ける2段構えの方式とし、さらに、健診の結果、発達の遅れや経過をおって観察の必要があると健診医が判断した場合、経過観察クリニック(月2回定期的に開催されている)に紹介され、市の健康支援課よりこれらの乳児の各家庭に個別に通知されます。

経過観察クリニックでも、前記の専門スタッフによる集団検診をしています。私たちはこれらを苫小牧方式と呼んでいます。さて、4か月、10か月健診からこのクリニックに紹介される乳児には、反り返りが強い、月例と比較し、座位の遅れ、ハイハイ不可、姿勢の転換不可、捕まり立ち不可、伝い歩き不可等の運動発達の遅れが多く、平成21、22年度のこのクリニックに紹介された総勢88名中27名を占めていました。

そのほとんどが生後7−10か月頃より、ズリバイをしていました。医学的にはシャフリングベイビーと呼んでいます。その種類は2種類あり、腹ばいの状態で移動するタイプと、お座りで足とお尻でこぐように脚を動かして前進するお尻ズリバイがあります。ズリバイする子供は全体の5%ぐらいに認められるといわれています。

ズリバイは正常発達の変化の1種と考えられています。私の経験では腹ばいでズリバイする子の頻度が高いようです。一般に乳児期の体幹筋力の弱い子供に多いといわれ、その以外の発達はすべて正常ですが、歩行開始が1歳半前後と遅れます。もちろん稀に脳性まひ等による運動発達、歩行の遅れが混入している場合があり、慎重に経過を追ってゆく必要があります。苫小牧市の健診では、1歳3か月から1歳8か月で独歩が可能になっております。私たちは、これらの両親にいざり赤ちゃんの特徴を説明し、理学療法士から家庭での運動療法の指導を受ける事を勧め、確かな歩行が出来るまで2−3か月間隔で追ってゆく方針をとっています。


我妻 嘉孝 (苫小牧市医師会・苫小牧市立病院)

2012年9月25日 苫小牧民報 掲載

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