No.88
◆尿は健康のバロメーター
苫小牧市医師会
豊田 健一

尿には体の情報がたくさん詰まっています。尿は健康のバロメーターでもあるのです。尿の色やにおい、泡など、尿を見ると様々な病態を推測する手段にもなります。本稿では、血尿を中心に、尿が伝える病気のサインについてお話します。

1. 尿検査での採尿法:原則的に中間尿で検査します。中間尿とは、出始めの尿を捨て、その後に出てくる尿を採取する方法で、尿道や外陰部の影響を排除するための方法です。

2. 顕微鏡的血尿顕微鏡的血尿の頻度は加齢とともに増加し、男性に比較して女性に多く見られます。血尿は腎・尿路のすべての部位から生じます。顕微鏡的血尿の患者で、腎・尿路疾患を呈するものは2.3%、更に尿路悪性腫瘍の割合は0.5%程度であると報告されています。主な疾患として、糸球体疾患、尿路上皮癌、腎癌、前立腺癌、尿路結石症、膀胱炎、前立腺肥大症、腎動静脈奇形、腎嚢胞、などがあります。腎臓疾患も合併している場合もあり、尿たんぱくの有無も重要です。治療または経過観察を要すると考えられた症例は13.9%であったという報告もあり、顕微鏡的血尿でも心配無いとは言えず、決して、見逃せません。

3. 肉眼的血尿明らかに血が混じっている肉眼的血尿なら迷わず泌尿器科専門医を受診してください。肉眼的血尿が出る病気は、その頻度的に「膀胱炎、尿路結石、膀胱がん」で、膀胱炎は排尿時の痛みや頻尿・残尿感、尿路結石は背中の痛みや横腹の痛みを伴うことが多い。しかし、膀胱がんは血尿のみで、ほかに症状が乏しい場合が多い。危険因子として、男性と喫煙者、有害物質への暴露、排尿刺激症状、鎮痛剤多用などに多い。さらに血尿は出たり止まったりするため、例えば、1回肉眼的血尿が出ても、次からの尿では血尿がなく、さっきのはなんだったのだろうとほっとして、肉眼的血尿が再び生じるまで、1〜2か月放置されることも稀ではありません。早期発見できれば、内視鏡手術で根治できるので、勇気を出して、泌尿器科を受診してください。また、血尿の出方に注目してみると、膀胱や膀胱より上部の尿路での出血なら、膀胱に貯まっている尿は最初から最後まで同じような血尿となりますが、尿道や前立腺で出血している場合は、尿の出始めに血が出る場合と、尿の最後にたらたらと血が出てくる場合とあり、診断・治療に役立ちます。血尿の場合、その出方にも注目して観察してください。最後に検査についてですが、膀胱がんの場合、最終的には、膀胱鏡検査が必要ですが、現在は、胃カメラのような細い、柔らかい内視鏡がありますので、痛みも軽度で、受診したその日にすぐ検査が受けられるようになっておりますので、ご安心ください。


豊田 健一 (苫小牧市医師会・とよた腎泌尿器科クリニック)

2012年7月24日 苫小牧民報 掲載

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