No.81
◆コレステロールと動脈硬化
苫小牧市医師会
藤田 伸夫

 特定健診が行われる様になり肥満や血圧、コレステロールなどに気を配る人が増えています。肥満や血圧は比較的容易に確認する事が出来ますが血糖値、コレステロール値等は血液検査を受けねばならず、自分の状態が判り辛いといえます。特にコレステロールについては中性脂肪・HDL・LDLなどの項目があり判り辛い様です。人間の体内には100〜150gのコレステロールがありその内5〜10gが血液の中に含まれているとされています。コレステロールは体を構成する細胞の材料や神経の伝達物質の材料、副腎で作られるステロイドホルモンの材料、脂肪の消化・吸収を助ける胆汁酸の材料などの役割があり身体にとって必要な物質です。

 この血液中のコレステロール(総コレステロール)あるいはその中の中性脂肪が増えた状態が高脂血症であり放っておくと動脈硬化を引き起こしてより重大な疾病につながります。動脈硬化をもたらす所謂「悪玉」コレステロールがLDLですが、本来の役目は細胞に必要なコレステロールを末端組織まで運ぶ事です。

 このLDLが動脈の壁に沈着して動脈硬化の原因になる為「悪玉」とされる訳です。一方HDLは末端組織からコレステロールを回収して肝臓に運ぶ役割を持ち、同時に動脈の壁からもコレステロールを取り出す働きがある為「善玉」と呼ばれる訳です。最近LDLとHDLの比率や差を調べて動脈硬化の進展の度合いの指標としています。コレステロールによる動脈硬化の起こり方は、まず血液の中のコレステロールが多い状態が長く続くとその刺激によって動脈の壁に傷が付く事から始まります。この傷からLDLが血管の壁の中に入り込みさらに白血球・平滑筋細胞・結合組織などにより体積を増す為血管の壁が盛り上がってくると共に血管が硬くなります。動脈硬化はお腹などの太い血管より始まり次第に全身の血管に広がります。

 臓の血管に動脈硬化が起こり進行すると狭心症・心筋梗塞の発作となります。日本人の食生活が西欧化して脂肪摂取量が増え続けている為高脂血症の人が増え動脈硬化による疾病も増え続けています。高脂血症や動脈硬化は狭心症などの二次的な疾病を来すまでは特定の症状が現れないので厄介な病気といえます。高脂血症の予防・改善の為には特定健診など定期的な健康診断によるチェックに加えて食生活を含めた日常生活の注意と適切な治療が必要です。


藤田 伸夫 (苫小牧市医師会・錦岡医院)

2012年3月27日 苫小牧民報 掲載

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