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Medical column とまこまい医報

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血液型診断

血液型診断

高柳 直己

(苫小牧市医師会・たかやなぎ小児科)

 「自分の血液型はB型だと思っていたけれど献血に行ったら実はO型だったよ」これは私の息子の本当の話です。生まれた産科で調べてくれた血液型はB型でした。乳児期の検査ではこのように血液型が不正確に出てしまうことがあります。血液型が本当に変わるわけではありません。正確な結果が出ない理由としては、「生まれた直後は母親の血液型の影響が強く、検査しても母親の血液型のデータが出てしまう」「血液型を調べる検査には、2種類の検査(表検査と裏検査)があり、乳児期は血球を凝集させる抗体がまだ低いために表と裏が矛盾し、微妙な判定になることがある」といった理由のためです。1歳を過ぎると凝集させる抗体が十分となり、正確な血液型の判定が可能となります。

 母さんが赤ちゃんの血液型を知りたいと言う理由で来院されることがありますが、乳児では不正確なので採血はしません。なぜ血液型を知りたいのかと考えると、「輸血が必要になった時に知らないと困る」という理由が考えられます。これは緊急時に輸血が必要な場合は必ずその時点で血液型を調べます。信じている血液型が間違っていることがありうるからです。ですから緊急時に血液型が分からないことが原因で手遅れになることはありません。お母さんが子供の血液型を知りたい理由のひとつに性格診断の迷信があるようです。血液型の結果を聞いて一喜一憂しているお母さんを見るとつくづくそう思います。性格と血液型には医学的にはなんの関係もないことは明らかです。そもそも脳の神経細胞の表面には血液型物質は存在しないですし、性格といった多面的なものを血液型といった4種類のタイプに当てはめることは危険なことです。

 血液型といった一見科学的な言葉にだまされてはいけません。星座や十二支で性格が影響されるわけではないことは多くの方が納得しているのに、こと血液型の性格診断は信じてしまうことは矛盾を感じます。血液型信仰は世界中で日本と韓国だけのようです。こういう性格診断を無害なものと思うかも知れませんが、AB型は二重人格などと分類することは差別そのもので好ましいことではありません。

 今年の7月4日松本元復興相はお詫びの会見で「私はちょっと、B型で短絡的なところがあって、私の本意が伝わらないという部分があると、、、」血液型で自分の性格を分析し、会見のなかで発言するよう人が大臣とはなさけない限りです。補足 血液型検査は、一般的には健康保険がききませんので数千円自己負担となります。(病気とは関係がないため)

2011年10月11日 苫小牧民報 掲載

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