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Medical column とまこまい医報

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狭心症と心筋梗塞(Ⅱ報)

狭心症と心筋梗塞(Ⅱ報)

花輪 和夫

(苫小牧市医師会・花輪内科循環器科医院)

 本日は狭心症、心筋梗塞の内科的、外科的治療と一般的治療について述べます。狭心症の内科的治療として、屯用薬と発作予防薬があります。屯用薬は、発作が起きたときに使用するもので、ニトログリセリンが代表的です。発作予防には、心臓の血管を拡げたり、血圧をさげたり、心拍数を減らして心筋の酸素需要を減らす薬が使われ、硝酸薬、カルシウム拮抗薬、ベータ遮断薬が主なものです。それ以外に抗血小板薬として、血液を固まらなくして心筋梗塞にならないようにします。

 冠動脈の狭くなった場所に血流を改善させる経皮的冠動脈インターベイション(PCI)に、バルーン形成術(風船療法)とステント留置術があり、バルーン形成術はカテーテルの先端に取り付けたバルーンを狭くなった血管に入れて膨らませて血液の流れを良くします。しかし、再狭窄の可能性がありますので、バルーンの外側に網目状に加工した金属(ステント)を留置して、血管の拡張を保つステント留置術を行います。最近では、再狭窄をさらに防ぐため、特殊な薬剤が溶出されるステントが用いられます。また、血管内の動脈硬化を削り取る治療法(アテローム切除術)もあります。

 外科治療としては、冠動脈の狭くなった部分に血管をつなぐ冠動脈バイパス術(CABG)があります。つなぐ血管は以前足の静脈を使用しましたが、静脈は動脈に比べ詰まってしまうことが多く長持ちしませんので、今では内胸動脈、胃大網動脈が使われます。上記治療でどれを選択するか非常に難しい問題で、一般的には左冠動脈の根元が細かったり、3つの冠動脈がそれぞれ狭窄していれば、バイパス手術の適応となります。それに、年齢、心機能、糖尿病の有無、その他の合併症を考慮して、最終的には主治医と十分相談のうえ、自分が決定して下さい。

 日常生活では、有酸素運動(身体の筋肉をリズミカルに動かす運動)、例えば歩く、走る、泳ぐ等の運動を適度に行う。過度のアルコールは避け、ビールでは中ビン1本、日本酒1合、ウイスキーダブル1杯、ワイン2杯が適量です。また禁煙に努める。ゴルフは緊張しないで1ラウンドすることは良いことです。ストレスは出来るだけ避けるこが必要です。また、高血圧、脂質異常症、糖尿病があれば十分コントールすること。食べ過ぎに注意し、肥満にきをつけ、狭心症、心筋梗塞にならないようしましょう。

2011年07月26日 苫小牧民報 掲載

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