No.69
◆狭心症と心筋梗塞
苫小牧市医師会
花輪 和夫

 本日は循環器疾患で最もポピュラーな狭心症と心筋梗塞について記載します。心臓の筋肉を養っている冠動脈が狭くなることが狭心症、詰まってしまうのが心筋梗塞です。詰まってしまうと、心筋が死んでしまうので、危険な不整脈を発生したり、心不全をおこしたりして重篤な状態となり急死することがあります。狭心症にて治療していて、胸が苦しくなったり、痛みが15分以上続いたり、回数が増えたり、程度が強くなったり、冷や汗がでたり、意識がもうろうとなったり、ニトログリセリンの舌下で効果がないときは心筋梗塞になりかけている可能性がありますので、直ちに医療機関を受診しましょう。

 狭心症は冠動脈の動脈硬化に基づいて血管が狭くなる労作性狭心症、冠動脈がけいれんをおこして血液の流れを減少させる安静時狭心症あるいは冠動脈スパスムとがあります。心筋梗塞は冠動脈の狭い場所に血の固まり(血栓)ができて、血管を完全に閉塞させて、心筋を壊死させます。また、冠動脈がそれほど狭くない部位から詰まってしまうことがあります。それは血管の壁に血中のコレステロールが入り込んでプラークができ、それが破裂して、そこに血液が固まって血管を閉塞します。そのために、血を固まらせないように抗血小板薬(アスピリン、チクロピジン、クロピドグレル等)を使用したり、コレステロールを低下させたり、プラークを破れないようにするためコレステロール降下薬(スタチン等)を投与します。

 胸痛があって病院を受診するなかで、4分の1ぐらいが心臓に由来するもので4分の3は非心臓性で、胸部筋肉痛、肋骨痛、肋間神経痛、気胸、胸膜炎、胃や食道の病気、心臓神経症などがあります。そのなかでも胃食道逆流症(GERD)が狭心症と間違われます。GERDの患者は胸やけと胸痛を訴えることが多いためです。心電図に異常なく、プロトンポンプ阻害薬(PPI)を投与して症状が改善されれば、GERDと診断されます。

 冠動脈の狭い部位を診断するのは、外来でできる方法として安静時心電図、負荷(運動)心電図、心エコー、心筋シンチグラフィー、マルチスライスCT、磁気共鳴血管画像(MRA)、侵襲的検査として冠動脈造影、冠動脈エコー、冠動脈内視鏡、OCT(光干渉断層撮影)等があります。狭心症の内科的、外科的治療及び一般的治療については次の機会で述べます。


花輪 和夫 (苫小牧市医師会・花輪内科循環器医院)

2011年7月12日 苫小牧民報 掲載

▲TOP  社団法人 苫小牧市医師会