透析医療について

 

No.62

 
         
 

 慢性腎臓病は一般に症状が現れにくく、自分にそんな病気が進行しているとは気が付きづらいのが特徴で、わかった時にはすでに末期腎不全となっていることが多い怖い病気です。

 もとになる病気は以前は腎炎が多かったのですが、最近では糖尿病、高血圧に伴う腎硬化症が増えています。また原因不明のものや様々な病気が引き金になります。腎機能がすっかりダメになってしまうと何らかの治療を受けなければなりません。腎移植、腹膜透析、血液透析などです。しかし腎移植は行われる数に限界があり、多くの方は透析治療をすすめられることになります。血液透析の方が大部分ですが、ここでも高齢化がすすみ、透析導入患者の平均年齢は1979年の47.5歳から2008年には67.2歳に達しています。また透析患者さんの数も1983年には5万人程度であったものが右肩上がりに増え続け2008年には約28万人になり、まだ当分の間増え続けるであろうと予測されています。その医療費も膨大で、国民総医療費約35兆円のうち維持透析に1兆3000億円が費やされており、1997年には3.15%であったものが2007年には3.72%と増大しています。また患者さん一人当たり年間500万円弱の医療費が必要といわれており、今後も国家財政がひっ迫していくなかで透析医療への風当たりはすでに様々な形で強まってきています。

 慢性腎臓病(CKD)は透析を要するような末期腎不全の予備軍であるばかりでなく、生命に危険をきたす心血管疾患の重大なリスクファクターとして、その対策があらゆる意味で喫緊の課題です。わが国の推定CKD患者数は約1330万人にのぼると言われ、新たな国民病になっています。

 さてそれではどうしたらよいのでしょうか。

CKDは早期に診断され、早期に治療を開始することで重症化を防ぐことが可能です。最も簡単な検査は検診での尿たんぱく検査です。また血清クレアチニン検査から糸球体濾過量(元の尿の量を測定)を容易に計算し腎機能を評価することが可能です。また血糖や血圧測定も大事な情報です。何かで引っかかったら腎臓の専門医にかかることが必要ですが、その数はまだまだ少なく、まずはかかりつけ医に気楽に相談することがすすめられます。CKDの多くは加齢や生活習慣病に関連しており、生活習慣改善、食事療法に取り組み、血圧、糖代謝、脂質代謝の管理治療を頑張って行うことでかかりつけ医が治療することが十分可能です。CKD診療連携システムは全国的にも立ち上げが進んできていますが、わが苫小牧でも着々とそのかたちが出来てきております。

 

 
 
     
  苫小牧市医師会
熊谷 文昭
 
     
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
         
  熊谷文昭
(苫小牧市医師会・苫小牧日翔病院)
2011年3月8日 苫小牧民報 掲載


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