混合診療について

 

No.45

 
         
 

 日本の保険診療では保険診療と保険外診療(自由診療)を併用することを混合診療といい原則として禁止されています。

 保険で認められていない保険外診療が診療内容に加わった場合には保険が適用されません。例えば日本未承認の薬を使用すると薬代だけでなく保険診療分も全額自費治療となりますが混合診療が認められていれば保険診療分に未承認の薬代を加えた分が負担分になります。

 このように混合診療を認めれば保険外治療を望む患者さんの自己負担分は大幅に減ります。保険外治療分は国庫負担分が生じないため医療費の削減も見込まれます。いいことばかりのように見えますが混合診療の解禁は多くの問題をはらんでいます。

 混合診療が解禁されると様々な自由診療サービスが病院の収入源になります。殆どの病院は低い医療保険点数のために赤字の状態です。保険診療に加えて追加収入を得られる自由診療サービスはどんどん提供したいところです。サービスを提供した病院は保険外の報酬を多くするため更に保険外診療部分を多くしていきます。一方追加自己負担をなるべく取らず現在の医療費の枠内で頑張る病院は収入を確保できず病院間の格差を生じてしまいます。

 混合診療を導入しても保険診療部分が維持されると思うのは幻想です。気がついたときには健康保険適用外の自己負担分をしはらわないと満足な医療が受けられなくなる可能性が起こりえます。追加分を自己負担すれば多様なサービスが受けられる制度を認めると医療に消費格差を生じてきます。お金がない人は必要な医療を受けられない、良い薬が手に入らない状態を作り出す可能性があります。混合診療は医療の万人平等の現在の日本の医療制度の方向性に相反するものです。 この制度を維持するために医師会を中心に患者さんの皆さんに現在の医療制度の素晴らしさをわかって頂く為にこれからも情報を提供していくつもりです。

 
 
     
  苫小牧市医師会
沖 一郎
 
     
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
         
  沖 一郎
(苫小牧市医師会・沖医院)
2010年5月25日 苫小牧民報 掲載


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