PET-CT検診について

 

No.44

 
         
  画像検査法のひとつにPETというあまり聞き慣れない検査法があります。今回はこのPETを用いた癌検診について説明します。PETというのはPositron Emission Tomographyの略で、核医学診断の断層撮像法をいいます。検査には、FDGというブドウ糖の一部を半減期110分のF-18という放射性同意元素で標識して作製した薬剤を使用します。癌組織のエネルギー代謝が亢進する性質を利用して、病巣に集積したFDGから放出される消滅光子を検出して画像化します。標識する放射性同位元素はサイクロトロンという非常に高価な装置で作製するため、当初はごく限られた施設しか検査できませんでしたが、2005年より製薬会社の製造した薬剤が保険適応となり、検査装置があれば、PET検査を行えるようになったため、全国的に普及し、苫小牧でも2006年秋の市立病院移転の際に東胆振、日高地区で初めて導入されました。通常は癌診療の場で活用していますが、癌検診にも対応しています。本邦ではPETによる癌検診は1994年より開始され、以来多くの方々が検査を受けました。初期の成績では、癌発見率がPETのみで1.51.8%、血液検査なども組み合わせた総合検診で22.2%程度と、これまでの検診と比べ非常に良好な成績が得られました。ただ、癌のなかでも比較的予後のよい、エコー検査のみでも検出可能な甲状腺癌の発見が多く、また疑陽性があるためさらなる検査が必要となったり、逆に、分化度の高い癌や小さな癌、早期の癌、泌尿器系の癌などは検出が難しく、偽陰性となるも場合もあり、一時期PET癌検診に対する否定的な意見が出された時期がありました。現在は、画像検査法としてのPETの弱点を補うため、CT装置と一体となったPET-CTが普及しており、正診率は向上しています。また、同時に行うCT画像も読影することで、癌のみならず癌以外の様々な疾患を発見することができます。この検診には、放射線被曝がありますが、胃癌のバリウム検診と通常のCT検査を併せた程度で、個々の検査を何度も受けることを考えると、問題のないレベルとされています。大腸癌や子宮癌、乳癌などの検診をためらわれている方にとっても、1本の注射をして後は横になるだけで済みますので、高価な点を除けば、精神的にも身体的にも非常に優しい検査法です。ただ、あくまで画像診断法なので、検出限界があります。検査で異常がなかった時でも、なんらかの症状がある場合などは、専門科を受診し診察を受けることで、より高い安心が得られるものと思われます。  
 
     
  苫小牧市医師会
久保 公三
 
     
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
       
  久保公三
(苫小牧市医師会・苫小牧市立病院
2010年5月11日 苫小牧民報 掲載


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