◆「うつ病と職場復帰」

 

No.43

 
         
 

 

近年心の病による休職や労災申請が急増し、職場のメンタルヘルスが大きな問題になっています。

 なかでも問題になることが多いのはうつ病です。うつ病は世界的に増加しており、その生涯有病率(一生のうちに一度はうつ病にかかる危険性)は13〜17%にも達しています。

 うつ病治療の基本は十分な休養と薬物療法です。軽度のうつ状態であれば仕事を続けながら通院して改善することもありますが、中等度以上のうつ症状があると休職が必要になります。

 休職し治療に専念すると、症状は数週間で改善することが多いのですが、いざ仕事に復帰しようとすると困難を来すことが少なくありません。

 しばらく仕事を休んだことで周囲の目が気になり、本当に復帰してやっていけるのかという不安やプレッシャーが強くなるからです。

 スムーズに職場復帰するためには、ある程度回復してからリハビリ的行動が必要になります。最初は気分の改善の程度に合わせて、テレビを見たり、読書、散歩、身の回りの片付けなどをしてみます。

 典型的なうつ病では、午前中が不調で午後になると幾分良くなる日内変動があるため、調子のいい時間帯に疲れない程度に始めてみるとよいでしょう。

 気分が安定し職場復帰を考えられるようになったら、そのための準備を始めます。 例えば午前中は会社に行く練習として図書館のようなところに通い、午後からは軽い運動で体力作りをする、などと日課を決めて実行してみましょう。

 また、うつになった原因として職場でのストレスが関係している場合は、その原因を振り返り問題点を整理して、復帰した際の対策を考える必要があります。

 仕事の内容や人間関係のストレスが大きければ、配置転換、異動、転勤を含めた環境調整について上司、会社側と話し合いましょう。

 気分が安定し、十分な就労意欲があり、受け入れ体制ができている、という条件が整ってから実際に職場に復帰することになります。

可能であれば、最初は半日程度の勤務から始めて、少しずつ就業時間を長くするなど、負担がかからないように段階的に復帰するとよいでしょう。

 うつ病は、時に死を考えることもあるつらい病気ですが、これまでの生活スタイルや仕事への取り組み方を見直すことで自分らしく生きる契機にすることもできます。 完璧を求めすぎず、肩の力を抜いて、様々なことをバランスよく楽しむ生き方を考えてみてはいかがかと思います。

 
 
     
  苫小牧市医師会
土屋 潔
 
     
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
         
  土屋 潔
(苫小牧市医師会・苫小牧緑ヶ丘病院
2010年4月27日 苫小牧民報 掲載


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