◆新しい手術法—NOTES手術

 

No.41

 
         
 

 

内視鏡を用いた腹腔鏡下の消化管手術は1985年にドイツで胆のう摘出術に行われました。1990年には日本にも導入され、1992年12月1日のとまみん健康講座で、われわれの病院での経験を述べました。

 20年経ったいま、全国で胆のう手術の8割は腹腔鏡でおこなわれているとのことです。その後、腹腔鏡下手術は大腸がん、胃がん、食道がんなどでも応用され、全ての例で可能ということではありませんが、長期成績もあまり遜色なく、傷が小さく、痛みが少ない、回復が早いというメリッットがあるので、消化器外科だけでなく、泌尿器、婦人科、胸部外科分野でも広く用いられるようになってきています。

 さらに最近では、NOTES(経管腔的内視鏡手術)が2004年、アメリカでブタを使って始められ、他の国でもヒトへも用いるところが出てきています。これは口や肛門、膣(ちつ)など管腔臓器の体表開口部からカメラを挿入し、胃や腸、膣の中から、これらの臓器の壁を切開して腹腔内に到達して治療を行うという、まったく新しい手術法です。

 現在すでに、内視鏡を用いて胃や大腸のポリープや小さい早期がんなどには、内視鏡を用いてポリープ切除や、粘膜切除術(EMR)、粘膜下層はく離術(ESD)が行われていますが、万一消化管の壁を破ってしまうと緊急手術が必要になります。NOTES手術は消化管や膣に穴を開けて、そこから内視鏡を更に押し出して手術をし、内視鏡を抜くときに、その穴を閉じるという操作をします。

 わが国では2008年4月に、大分大第一外科教授の北野正剛氏らが、国内1例目となるNOTES手術が行い、阪大では膣から内視鏡(腹腔鏡も補助的に使用)をいれて胃の腫瘍の切除例が報告されました。

 曲がりくねった管腔を通して手術を行うため、柔軟に曲がる細長い道具を使って手術をする必要があります。現状ではまっすぐな道具に比べ機能 が限られているため、あまり複雑なことはできません。

 しかし、技術の進歩により安全に多くのことができるようになれば、さまざまな場面でこの治療法が取り入れられるようになるでしょう。

口から内視鏡を入れて、胆嚢を取り出す。そんな度肝を抜かれる光景が普通に見られるようになるかもしれません。

 

 
 
     
  苫小牧市医師会
上村 恭一
 
     
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
         
  上村 恭一
(苫小牧市医師会・同樹会苫小牧病院
2010年3月23日 苫小牧民報 掲載


▲TOP  社団法人 苫小牧市医師会