◆身体障害者福祉法における肝臓機能障害の追加について

 

No.36

 
         
 

 身体障害者手帳は、身体に障害のある人が様々な福祉施策を利用するために必要な手帳で、身体障害者福祉法による援護以外にも、電車、バス、飛行機などの交通機関を割引で利用する場合等にも利用できます。身障手帳は従来視覚障害・聴覚障害、心臓や腎臓、呼吸器の機能障害等、さらに脳卒中等で半身不随になったり事故等で四肢を失った肢体不自由の人の為のもの、という認識が一般的で、肝機能 障害は対象外でした。国はこれまで、肝機能障害は症状が様々で治療により病状が改善する可能性もあることから、身体障害と認めることは困難と言う立場でしたが、しかし平成22年4月1日から、肝臓機能に障害があり、国の定める認定基準を満たす方に対しては、身体障害者手帳が交付されることとなりました。(スケジュールとしては1月末までに「政省令改正」4月1日より「改正政省令施行」)これは薬害肝炎訴訟等を背景に350万人とも推計される肝炎の多くが医原性に生じた可能性が高いとの判断に基づくものです。

 肝機能障害の範囲については、「一定の肝臓機能障害あり、その障害が固定・永続している。」「日常生活活動の制限が有る」と言う基準が示されています。具体的には、「治療の実施等にもかかわらず、肝機能障害の重症度分類として国際的に認知されているChild-Pugh分類によるグレードCの状態に一定期間あって、回復困難なもの」が相当するとされていますが、患者サイドからは解りづらいですので、主治医に相談の上、各自治体の窓口へお問い合わせ下さい。(実際の認定には指定医による認定が必要となります)。また、肝機能障害の原因としては、ウイルス性肝炎、自己免疫性肝炎、代謝性肝疾患等がありますが、身体障害者福祉法における身体障害は、原則として障害となった原因を問わないこととしており、肝機能障害についても同様の取扱いとなります。しかし、アルコールに起因するものについては生活習慣に依存するものであり、一定期間の断酒を確認した上で認定することが適当であるとされていますので、ご注意下さい。なお手帳の交付については平成22年4月1日からの予定なっておりますが、申請の手続きについては前倒しで 始まる予定ですので、該当すると思われる方は主治医の先生や各自治体の窓口によくご相談下さい。

 
 
     
  苫小牧市医師会
柏原 茂樹
 
     
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
         
  柏原 茂樹
(苫小牧市医師会・医療法人王子総合病院)
2010年1月16日 苫小牧民報 掲載


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