◆補聴器の活用

 

No.33

 
         
 

 補聴器は一昔前より、その性能は向上しています。かつての補聴器では弱点でしたが、今は騒がしい所での聞こえの改善にも役に立つようになっています。補聴器の中枢部でデジタル処理が出来るようになってその性能は飛躍しました。その人の生活スタイルや仕事の内容によって、細かな調整が出来るようになっています。プールで泳ぐ人のための補聴器もあります。耳の穴(外耳道)の中に隠れてしまうような形のもあります。耳鳴りがうるさくて、補聴器の使いにくい人のために耳鳴りに慣れてもらう治療機器と補聴器が一体となったものも出てきました。
補聴器を試してみたいという人に、貸し出してくれる補聴器センターがあります。そのうちレンタル(有料)できるようになれば、便利になるでしょう。ふだん一人暮らしで不自由してないが、こどもや孫が遊びに来たときに会話に困らないように一時的借りることができる。そのようなレンタルサービスがあればいいと思います。
 外出して、車が近づいていることに気づかなくて、びっくりしたことはないですか?パトカーや消防車あるいは救急車のサイレンや放送が聞こえなかったことはありませんか?電話の音や携帯の着信音が聞こえなかったことはないですか?玄関のチャイムが聞こえなくて、訪ねてきたお友達が帰ってしまったことはないですか?役所や銀行・信金あるいは郵便局の窓口で聞き返すことがありませんか?息子の声と違うことに気づかなくて、「ふりこめ」詐欺にあったことはないですか?火災報知器などの警告音が聞こえなかったことはありませんか?
補聴器はただ声を大きくするためだけの機器ではありません。あなたの身の回りの危険な音を知るために必要です。聞き返しが嫌で外出しなくなり家に閉じこもっていると、足腰が弱ります。若いときと同じような生活を長く続けたいと思っていても、聞こえが悪いといろいろと困ることがたくさん出てきます。
 補聴器は、高齢者のためだけのものではありません。生まれながら聞こえがよくない赤ちゃんにも使うことができます。病気やけがあるいは大きな事故で聞こえが悪くなった人にも使えます。聞こえが悪いだけで、知的な発達が遅れている、あるいは認知症であると誤解されてることもあるかもしれません。
 補聴器を試したいという人は、耳鼻咽喉科で医師の診察を受け、聴力などの検査を行い、紹介状を書いてもらい、認定補聴器技能者のいるセンターや専門店へ出かけてください。
補聴器は購入するとなると高価なものです。聞こえの程度によって身体障がい者に当てはまる人には、公的な補助が出ることもあります。
 補聴器は購入後も何度も「調整」をしなくてなりません。何度も調整をおこない、機器の点検も定期的におこなう必要があります。電池も必要です。車を購入すると、保険だけでなく、ガソリン代、定期的な点検、オイル交換、タイヤの交換、さらに車検などいろいろとお金がかかります。補聴器も似たようなところがあります。どちらも、高価ですが、あると便利だと思います。そしてどちらも、新しい機能がついてきて、これからももっと便利になります。どちらも長く使っていれば、いずれは買い換えなくてはいけません。しかし、ふつう補聴器は車ほど高価ではありません。

 
 
     
  苫小牧市医師会
山口 龍二
 
     
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
         
  山口 龍二
(苫小牧市医師会・医療法人社団頭頸会 苫西耳鼻咽喉科クリニック)
2009年11月24日 苫小牧民報 掲載


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