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Medical column とまこまい医報

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小児の医療費助成制度について

小児の医療費助成制度について

小林 徳雄

(苫小牧市医師会・王子総合病院)

 一生のうちで、最も多くの数の病気にかかるのはいつか?答えは2歳と言われてきました。
そのほとんどは感染症で、いわゆる「風邪」です。外の社会にデビューすると、いっぱい感染性の微生物に晒されるのです。ただし、最近は少子化、外遊びの機会の減少により、保育園に入園して最初の1年間と言ったほうが正しいようです。また、お兄ちゃんやお姉ちゃんがいる赤ちゃんにとっては生まれて最初の1年間だったりします。
「風邪」は大抵は治る病気ですが、そうとはいってもバカにできません。子供は抵抗力が弱かったり(例えば肺炎やヒブ髄膜炎)、病気が重症化しやすかったり(例えばインフルエンザ脳症)、脱水になりやすかったりします。大人にとっては弱い敵にすぎないものが、子供にとっては重大問題になることが多いのです。
 「病気になったら病院にかかればいいだろう」と言われる方もいるでしょう。それで確実に治るならそれでも良いでしょう。しかし、実際には、子供が大変な苦痛を受けることが少なくはなく、さらには治らなかったり、後遺症を残したりすることもあります。
また、本来、病院にかかるということは、時間もかかるし、お金もかかります。病院にかかる機会がどうしても多くなってしまう、子育ての時期の親たちの収入は決して多くはありません。そのため、市や道や市町村が医療費の助成をしています。苫小牧市では、その代表である乳幼児医療費助成事業によって、小学校入学前の子供たちに医療費の助成をしています。現在は、初診料を除いて自己負担なしとなっています(ただし保険診療分のみに対してのもので、保険外診療や自費分は対象になりません。入院中の食事代も対象にはなりません)。
子供でも1つの病気で長く苦しめられることがあります。小児の慢性病ということですが、これらについても北海道小児慢性特定疾患治療研究事業があります。これによって、自己負担限度額が定められます。①悪性新生物②慢性腎疾患③慢性呼吸器疾患④慢性心疾患⑤内分泌疾患⑥膠原病⑦糖尿病⑧先天性代謝異常⑨血友病等血液・免疫疾患⑩神経・筋疾患⑪慢性消化器疾患の11の分野に分かれています。
 また、成人と同じ制度になりますが、特定疾患事業もあります。現在、国で定めた46疾患と、道で追加した9疾患があります。慢性病に悩む20歳未満の小児ではこれらの制度で助成を受けられるかどうか、かかりつけ医療機関に相談されたらと思います。
その他にも、ひとり親家庭や重度心身障害者に対しての制度もあります。
こういった助成も市民の皆様の税金で成り立っています。苫小牧の子供たちが病気を克服して一人前に成長してゆけるよう、ご理解とご協力いただけたらと思います。

2009年10月13日 苫小牧民報 掲載

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