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Medical column とまこまい医報

とまこまい医報

医師の専門医制度について

医師の専門医制度について

佐治 裕

(苫小牧市医師会・苫小牧市立病院)

 市民の皆様はニュースや医療機関のホームページで専門医という言葉を目や耳にされることが多いと思います。これは各学術団体が専門医制度を設け、修練・研修の実績などに関する審査、筆記・面接・実技試験などを経て該当学会の専門医として認定する資格です。ですから○○学会認定○○病専門医という様に表記します。

 そして平成14年からは厚生労働大臣が認めた資格名について広告可能となりました。さらに平成19年には厚労省から医療広告ガイドラインが出され、専門医制度を認定する団体には専門医の名簿の公表が求められるようになりましたので、各学会のホームページなどで専門医の氏名が確認できます。平成20年4月25日現在専門医資格は52団体の50資格に及んでおります。またガイドラインに従い最近ではほとんどの医療機関で勤務医師の役職、略歴とともに取得した専門医資格を明示する傾向にあります。
 資格取得に際し経験と知識が審査されますので一見理想的な日本の専門医制度ですが公平中立な第三者機関ではなく学術団体(学会)主導で運営されており、学会の都合に左右される傾向が否定できませんでした。その後専門医による医療事故の発生などで専門医制度の普遍性、価値そのものを問われる事態となり、社団日本専門医制度評価・認定機構では、加盟している各学会と協調し、専門医制度の統一化、標準化を目指しています。
 まだまだ問題の多い我が国の専門医制度で、専門医資格を有する医師なら大丈夫とは断言できません。また歴史が浅い制度なのでベテランの先生には今さら研修や試験を受けていられないという事情もありますが、逆に若い医師の間では専門医資格を持つことはその領域の診療を行う上での最低条件という共通認識ができつつあります。勿論長年培われた医師と患者さんとの信頼関係、評判は大変重要ですが、市民の皆様は新たに専門性の高い治療のため医療機関を選ぶ場合勤務する医師の専門医資格も参考にされてよろしいかと思います。因みに各専門医制度では、定期的に資格の更新が行われ、その際勤務実績、学会、教育集会などへの参加実績が問われます。医師には日進月歩の医学の世界で生涯自分が専門とする分野の勉強、研鑽が求められております。なお各専門医制度では医師が資格を取るための研修、修練の場として施設認定を行っております。指導医、専門医数、設備、診療実績などの基準を満たした施設が認定を受けております。

2009年07月07日 苫小牧民報 掲載

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