◆小・中学生のスポーツ障害

 

No.21

 
         
 

 将来の活躍を夢見て、練習にはげむ小さなスポーツ選手たちが、痛みなくプレーできるように手助けしてあげるのが整形外科医の仕事のひとつです。


 子どもと大人は、からだの特徴の違いにより、傷める場所が異なります。筋肉の柔軟性などの違いもありますが、特に子どもの骨には、成長帯(骨が成長する場所)や骨端核(軟骨がまだ骨になりきっていない場所)があることが大きな違いです。力を生み出す筋肉や関節を安定させている“じん帯”は、骨に直接ついています。大人の場合は、大きな外力により、じん帯自身に障害がおこることが多いのですが、子どもの場合は、繰り返される小さな外力(骨同士がぶつかったり、じん帯にひっぱられること)によって、骨の成長帯や骨端核に障害がおこりやすい傾向にあります。


 肩・肘には、野球やテニスなどの投げる動作により大きな負担がかかります。“野球肘”と診断されることがあります。このなかには、じん帯や筋肉の炎症から、やわらかい骨や軟骨に亀裂がはいる離断性骨軟骨炎までさまざまな病態があります。離断性骨軟骨炎は、早い時期にはレントゲン写真ではわからないことが多く、痛みを我慢しながら運動を続けていくと“関節ねずみ”(小さな骨のかけらが関節のなかを動きまわる)ができてしまうことがあります。現在では、MRIや超音波検査により、超早期から診断が可能になっています。早い時期であれば、投球や肘に負担のかかる運動をさけることにより、元通りに治る可能性もあります。これと同じように骨の成長帯あるいは骨端核に障害をきたすものには、オスグッド・シュラッター病(ひざの皿の下にある骨)、リトル・リーガー肩(肩のつけねの骨)、あるいはリトル・リーガー肘(肘の内側の骨)などがあります。


 これらの障害をおこさないためには、運動をしすぎないということが一番の予防になります。小・中学生レベルの野球選手に対しては、日本臨床スポーツ医学会が投球数のガイドラインを示しています。日本においては、小学生では1日50球まで、週に200球まで。中学生では1日70球まで、週に350球までを目安としています。米国においては、もう少し厳しい制限がもうけられています。


 小・中学生のスポーツ障害は、より早い時期に的確な診断をうけることが大切です。将来に障害を残さないために、指導者や保護者の方たちとも協力しながら、状況に応じてしっかりと運動を休ませることが必要です。

 
 
     
  苫小牧市医師会
鈴木 克憲
 
     
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
         
  鈴木 克憲
(苫小牧市医師会・医療法人 王子総合病院)
2009年5月26日 苫小牧民報 掲載


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