◆慢性腎臓病は新たな「国民病」

 

No.15

 
         
 

 メタボリックシンドロームの重要性は広く理解されつつありますが、最近は心臓血管病の予防として、慢性腎臓病(英語の略語CKD)が注目されています。


 この病気は、@蛋白尿陽性(尿に蛋白が出ている状態)などの腎臓の異常、A腎臓の働きの目安である糸球体ろ過量(1分間に血液がろ過される量:正常100ml、通常の血液検査から推定できる)が60%未満になる。@Aのいずれか、または両方が3ヶ月以上持続すると診断されます。
 慢性腎臓病になる代表的な病気は、慢性腎炎や多発性のう胞腎などの腎臓病はもちろんですが、糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病も大いに関係しています。


 2006年人工透析導入患者(3万6千人)の第1位は糖尿病性腎症、第2位は慢性腎炎、第3位は腎硬化症(高血圧)であることから明らかです。慢性腎臓病は通常、徐々に腎機能の低下が起こり、最終的には慢性腎不全に至り、透析にいたることが大問題ですが、最近の報告から一見関係のないと思われる心臓病(狭心症、心筋梗塞)や脳卒中などの病気になる危険性が極めて高いことがわかりました。


 治療は、生活習慣(食事や運動)見直しと有効な薬物療法で改善が期待できます。糖尿病の合併の方も多いことから、まず肥満を解消して適性体重を維持することが大切です。腎障害が進むにつれて、食事は腎臓の負担を減らすために、より厳格な食塩制限やたんぱく質摂取量を減らすことが大切です。高血圧の方は、生活習慣の是正で改善しない場合は腎機能を保護する降圧剤を使用して、血圧を130/80mmHg未満に、蛋白尿が1g/日を超えた場合は125/75mmHg未満にすることが推奨されています。糖尿病の方は、コントロールの指標であるHbA1cを6.5%未満にします。脂質異常症のある方は、悪玉コレステロール(LDL)を120mg/dl未満を目標としています。血糖と脂質の治療は腎臓病増悪と動脈硬化の予防に不可欠です。さらに、忘れていけないのは禁煙です。


 慢性腎臓病をお持ちの方は成人人口の約10%と推定されており、非常にありふれた病気です。放置し進行すると恐ろしい病気ですが、きちんとした日常診療で十分発見でき、予防や治療が可能ですのでご心配な方は主治医と御相談ください。

 
 
     
  苫小牧市医師会
柴田 真吾
 
     
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
         
  柴田 真吾
(苫小牧市医師会・医療法人社団 柴田内科循環器科)
2009年2月24日 苫小牧民報 掲載


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