◆産業医の役割

 

No.12

 
         
 

 産業医の役割として、第一に、働き盛り世代の突然死の問題として私たち医療現場が直面している、メタボリックシンドロームに対する対策が必要です。健康診断で検査値に何らかの異常を認めるのは約半数です。肥満者は約30%にのぼります。その肥満者の約半数に肝障害を認めます。その他、検診者の約30%に脂質代謝異常、約10%に高血圧、糖代謝異常を認めます。このように、現代の日本における特徴的な飽食と車社会の中で動脈硬化を伴う心血管疾患は、確実に増加しています。メタボリックシンドロームは、過栄養や運動不足によっておこる内臓脂肪の蓄積があり、インスリン抵抗性を基盤とし、糖代謝異常、脂質代謝異常、高血圧など複数合併しているにもかかわらず、自覚症状が少ないため、脳梗塞、心筋梗塞などを起こし易いという認識が欠如したまま病状は進行し、働き盛りに心筋梗塞や脳梗塞などの心血管疾患を突然発症し、本人、家族だけでなく職場にも大きな影響を与えています。日本における診断基準もでき、腹部肥満が必須条件であり、男性腹囲85cm以上、女性90cm以上に加えて下記三項目の危険因子(@中性脂肪150mg/dl以上またはHDLコレステロール40mg/dl未満A血圧130/85以上B空腹時血糖110mg/dl以上)のうち二つ以上あれば、メタボリックシンドロームと診断されます。この診断基準に照らしあわせて検討すると、日本人の40歳以上の男性の26%、女性の9%がその診断基準を満たすとの報告がなされています。検診項目の一つ一つはわずかな異常であっても、それが一人にいくつも重なると血管病変が進行し、心血管疾患に至ることが重要です。


 第二に、労働者の受けるストレスは最近拡大する傾向が非常に強く、仕事に関して強い不安やストレスを感じている労働者が六割を超える状況にあります。その点においてメンタルヘルスケアーが労働者の職場、家族およびその社会環境に与える影響は、日増しに大きくなってきています。企業において、より積極的に心の健康をはかるメンタルヘルスケアーは、非常に重大となってきています。企業が健康診断の結果のみならず、普段の業務遂行上知りえた従業員の健康状態、精神状態に関する情報に基づき適切な配慮をすることで労災認定や損害賠償責任を回避することが可能となるかもしれません。今後肉体的疾患ばかりではなく精神的疾患に関しても産業医が関わりを持ってゆくことが必要となってきています。

 
 
     
  苫小牧市医師会
横山 浩二
 
     
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
         
  横山 浩二
(苫小牧市医師会・横山内科消化器科)
2009年1月13日 苫小牧民報 掲載


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