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Medical column とまこまい医報

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災害医療と災害拠点病院

災害医療と災害拠点病院

大岩 均

(苫小牧市医師会・王子総合病院)

 未曽有の大災害となった東日本大震災から半年が経過します。甚大な被害を受けた地域の多くの自治体行政や医療が崩壊した中、建物が残った病院で懸命な医療活動が続けられました。災害時の医療対応いわゆる災害医療の重要性が改めて注目される年となりました。ここでの災害とは地震、津波、台風、噴火などの天災だけではなく、列車事故などの大規模交通災害やサリン事件、アメリカ9・11テロ事件など故意、あるいは過失などによる特殊災害のCBRNE(化学、生物、放射能、核、爆発物)災害も含んでいます。自然災害の多い日本では地震災害に対する対応が災害医療の中心と考えられます。現在の災害医療体制の基となったのは、阪神淡路大震災の教訓、すなわち災害時の初期救急医療体制整備の重要性からです。震災翌年の厚労省令により原則、各都道府県に1か所の「基幹災害医療センター」、2次医療圏毎に1か所「地域災害医療センター」が指定されることになりました。

 本道では前者が札幌医科大学、後者には24医療機関が指定され、東胆振医療圏では王子総合病院が指定を受けています。現在全国に約600の災害拠点病院が指定されていますが、今回、石巻赤十字病院は被災地内の災害拠点病院として地域の医療の要となりました。被災地内の災害拠点病院には、「多数の災害傷病者に対して最大多数に最良の医療を提供する」ことが求められていますが、限られた人員と不足する医療資源のなかで地域の拠点病院として傷病者を受け入れ、平時のような医療活動を遂行することは不可能です。そこで災害超急性期に参集するDMAT(災害派遣医療チーム)が被災地内災害拠点病院における初期の医療活動に大きな役割を果たします。

 今回の震災においても数多くのDMATが被災地に参集し医療支援活動を行いました。現在全国に500チーム以上あるDMATですが、活動時間は48時間と規定されています。その後は日赤や様々な組織の医療支援チームが救護班として病院、救護所の医療に当たります。日本医師会としてはJMATを組織し亜急性期の医療活動を担いました。

 今回の震災は被害の範囲が広域で甚大であったこと、地域の行政機能が崩壊したため、各地から支援チームが来てもそれを統括する部門がなく、バラバラに活動していたという問題が生じました。この震災の経験と教訓を生かし、より整備された災害医療体制が確立されることを期待したいと思います。

2011年09月13日 苫小牧民報 掲載

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