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ピロリ菌感染症

ピロリ菌感染症

三好 幸宣

(苫小牧市医師会・三好内科胃腸科クリニック)

 ピロリ菌は胃の粘膜に生息しているらせんの形をした細菌で、一方の端に鞭毛(べんもう)と呼ばれる毛が4~8本付いていて、粘液中を活発に運動することができます。胃には、胃酸があるため通常の菌は生息できませんが、ピロリ菌はウレアーゼという酵素を持ち、粘液中の尿素をアンモニアと二酸化炭素に分解してアンモニアのバリアーを作って自身を守っています。日本では若い人のピロリ菌感染は比較的少ないのですが、50歳以上では約70%の人が感染しています。

 ピロリ菌は胃に炎症を起こし、萎縮性胃炎、胃・十二指腸潰瘍、胃がん、胃MALTリンパ腫(低悪性度のリンパ腫)、過形成性ポリープなどの上部消化管の病気を引き起こす可能性があります。さらに胃酸分泌能など胃の働きの面にも影響し、胃の中の環境も変えます。また、突発性血小板減少性紫斑病や小児の鉄欠乏性貧血など消化管以外の病気との関連性も指摘されています。

 ピロリ菌を退治する治療を除菌療法といいます。潰瘍は鎮痛剤、ストレスなどでも発症しますが、ピロリ菌が原因の場合、除菌するとほとんど再発はなくなります。

 除菌の方法は、2種類の抗生剤と胃酸の分泌を抑える薬の計3剤を1日2回、7日間服用し、これで70~80%は成功しますが、うまくゆかなった場合、抗生剤の種類を変えてもう一度除菌することが保険診療上認められています。除菌療法中の副作用には、軟便、下痢、味覚異常などが起こりやすいですが、程度が軽ければそのまま服用し、ひどい場合は医師に連絡してください。

 ピロリ菌の検査には内視鏡を使って組織を採取して直接ピロリ菌の有無を見る鏡検法と培養法、迅速ウレアーゼ試験があります。内視鏡を使わない方法には、血液や尿を採取してピロリ菌に対する抗体の有無を調べる抗体測定、検査用の薬を飲み、一定時間経過した後に呼気を調べる尿素呼気試験、便のピロリ菌感染を判定する方法などがあります。

 2009年の日本ヘリコバクター学会ガイドラインでは、先ほど挙げた疾患を全てピロリ菌感染症として除菌の対象とすべきといっていますが、現在保険診療上、除菌が認められているのは、胃・十二指腸潰瘍と、まれな疾患であるMALTリンパ腫のみです。ピロリ菌感染者が全て除菌できるようになれば、胃がんの患者さんも減っていくことになるでしょう。早急な適応拡大が望まれています。

2011年03月22日 苫小牧民報 掲載

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