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Medical column とまこまい医報

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肩の治療新たな時代へ

肩の治療新たな時代へ

田村 正吾

(苫小牧市医師会・勤医協苫小牧病院)

近年、内視鏡による治療が多くの医療分野で盛んに行われています。

 整形外科の分野でも、膝関節の内視鏡として開発された関節鏡が、実用化されて早や50年が経ちます。現在では、肩 肘 手関節 股関節 足関節にも応用され、また脊椎内視鏡の開発により脊椎の手術も行われています。

 関節鏡による手術の特徴は、①手術の創部が小さく、身体に優しい, ②正常組織をほとんど傷つけない, ③術後の早期復帰が可能, などがあります。 

 肩関節においても、10年ほど前から、勤労者やスポーツ選手の復帰レベルを高めるために関節鏡による手術が行われ、医学学会ではその治療法や治療成績が盛んに議論されています。  

 かって肩関節の関節鏡による手術は、狭い視野での手術操作が難しく、出血や神経損傷の危険性のために限られた疾患に行われてきました。

 しかし現在では手術機器と手術手技が飛躍的に進歩したため、その適応は拡大しています。反復性脱臼 (繰り返す肩の脱臼) や肩腱板(肩周囲の筋肉)の損傷, 肩腱板の石灰化症, 投球障害肩, 肩関節拘縮, リウマチ肩や透析肩, 化膿性肩関節炎, 等さまざまな疾患が関節鏡で治療されるようになりました。

 しかしこの治療技術は、整形外科医の誰でもが出来るというわけではありません。肩の内視鏡治療を希望される方は、肩関節を専門とし数多くの内視鏡によるトレーニングや治療経験のある専門医のもとを訪れるべきでしょう。
 アメリカでは、この関節鏡の手術のみを専門とする関節鏡専門医が居て、盛んに治療が行われています。 

 日本では、まだ半数以上に、皮膚を大きく切開して手術する方法が行われていると言われています。  

 早晩、関節鏡での手術が主流になっていくものと思われます。
 高齢化に伴って肩周囲の骨折が増えていますが、骨折の治療は内視鏡での治療が難しい分野です。

 高齢者の骨はもろいため、骨がうまくつかず十分に満足な治療結果が得られないことがありまた。数年ほど前から、新たな骨折治療材料が開発され、特殊な金属プレート(金属板のねじ穴に、ねじがロックされる)の使用で、骨粗しょう症の強い骨でも強固な固定性を得ることが可能になりました。

 今後も新たな医療材料や技術革新で、整形外科の肩関節の治療分野は、新時代へと進んでいくことでしょう。

2011年02月08日 苫小牧民報 掲載

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