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Medical column とまこまい医報

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メタボあれこれ

メタボあれこれ

高木 陽一

(苫小牧市医師会・苫小牧泌尿器科・循環器内科)

皆さんは「節約遺伝子」という言葉を聞いたことがありますか?「節約」という言葉から連想して、『なんだ節約してお金がたまる素晴らしい遺伝子があるのか』と思われるかもしれません。しかし残念ながらこれは栄養を節約する遺伝子で、少ない食事でも効率よくエネルギーを吸収し蓄える性質をもっています。つまり頑張ってダイエットしてもこの遺伝子が強く発現している人は、脂肪が減りにくいということになります。さて遺伝子というのは人間をはじめとした動植物が長い長い年月をかけて、生存に適するように進化させてきたしろものです。100万年前の人類誕生以来(あるいはそのずっと前から)人間は飢餓に苦しんでいたと思われます。あるときは食べ物があっても、次はいつ食べられるかわからない。ですから食べられる時にお腹いっぱい食べ、効率よく吸収し次の時までに栄養を蓄える、それができた者が生き残り節約遺伝子として後世の我々に伝わったと考えられます。ところが日本ではここ数十年ほど、食べ物は豊富に手に入ります。遺伝子につき動かされて(つまりは本能の命ずるままに)食べ散らかせば、すぐに肥満になっていろいろな病気を招くことになります。本来生き残るために進化した節約遺伝子が、逆に脅威となってしまったのです。同様のことは塩分にも言えます。生命は海で進化し、まわりに豊富にある塩(特にナトリウム)を取り込み体内で重要な働きをさせています。ですから3億5000万年前、生物が陸上に上がってきた時に、塩分の確保ということが大きな問題となったはずです。そこで塩分を効率よく取り込むために、塩味をおいしいと感じるよう遺伝子に刻んだわけです。で、現在豊富に塩が手に入りますが、本能のままに塩を取ると血圧が上がり芳しくない事態を招く・・・同じパターンです。カロリー制限と塩分制限はともに遺伝子に逆らって成し遂げなければなりません。その点、メタボ対策の一つの柱である運動は違います。むしろ古来動物は追い追われ走り回っていたでしょうし、運動後の爽快感を考えるとむしろ生物本来の欲求と思われます。かくいう私も当院のスタッフに習い、室内バイクを始めました。テレビを見ながら漕いでいるといつの間にか汗びっしょりになります。でも、どういう運動が自分に合っているのかは人それぞれと思います。みなさんも工夫して楽しい運動をしてみませんか?体が温まって、暖房費の「節約」にもなりますし。

2010年11月23日 苫小牧民報 掲載

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