とまこまい医報
たばこ値上げと禁煙
たばこ値上げと禁煙
三上 尚人
(苫小牧市医師会・三上外科整形外科)
平成15年5月に施行された健康増進法第25条において「学校、体育館、病院、劇場、観覧場・・・等々、多数の者が利用する施設を管理する者は、受動喫煙を防止するために必要な措置を講ずるように務めなければならない」という規定が盛り込まれ、以後、愛煙家にとっては年々、日々、肩身が狭くなる対応が講じられてきています。 愛煙家の皆様にとっても、「たばこ」が健康を阻害するという認識は十分もっておられると思います。かく言う私も愛煙家。できるものなら止めたいと考えています。 今年10月1日からたばこ税の大幅値上げ。過去最大幅の値上げになります。これを契機に禁煙をとお考えになっている方も少なからずいらっしゃると思います。WHO(世界保健機関)は国際傷害疾病分類で、たばこの使用を「精神および行動の傷害」、さらに習慣的な喫煙を「依存症候群」として、いわゆる「病気」と定義付けしています。自らの強い意志で禁煙できる方は良いとして、そうでない方には「禁煙外来」にかかることをおすすめ致します。身体がニコチンを渇望するニコチン依存(薬物依存)と、イライラや口さびしさ、食後の一服などの習慣からたばこに手が出る心理的依存、この二つの依存状態が禁煙の難しさの要因です。喫煙が病気となれば医療機関で「治療」するのは当然のこと。医師の指導の下で禁煙プログラムの開始。治療内容は医療機関によって異なりますが、ニコチン置換療法(最近では、ニコチンパッチという貼り薬の他、飲み薬による治療もあります)、心理的依存脱却の行動療法などの治療方法により初診から3ヶ月後の禁煙達成を目指します。苫小牧市内での禁煙外来実施医療機関については、直接医療機関にお問い合わせすることをお勧めいたします。 世界経済を危機に陥れたリーマンショックから今週でちょうど2年。世界各国の巨額の財政出動により回復軌道に乗ったかに見えた世界経済は、このたびの欧州財政不安を契機に再び不透明感が広がってきています。愛煙家の皆様にとっては禁煙の苦しみを乗り越えた時の達成感と健康回復、そして財布からの「巨額」の財政支出を削減できる効果があります。
2010年09月14日 苫小牧民報 掲載