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Medical column とまこまい医報

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がん検診について

がん検診について

岩井 和浩

(苫小牧市医師会・王子総合病院)

 がんは、昭和56年からわが国の死因の第1位となり、年間30万人以上の方が亡くなっており、今後も人口の高齢化にともない死亡者数の増加が見込まれています。生涯のうちに、がんに罹る可能性は、男性の2人に1人、女性の3人に1人と推測され、がんに罹ることは、けっしてまれなことではありません。がんに罹らないためには禁煙や生活習慣の改善が有用ですが、それだけで、がんに罹るリスクをゼロにすることはできません。がんによる死亡者数を減少させるには早期発見・早期治療が重要であり、そこで大事なのが「がん検診」です。医学の進歩により、がんは約50%の人が“治る”(厚労省がん研究助成金報告書、平成19年)ようになっています(がんの種類により現在でも難治性のがんもあります)。初期の段階では、がんは適切な治療を行うことで、高い確率で治癒します。こうした、初期のがんを見つける「がん検診」は、がんの死亡率を下げるのに有効と考えられています。ところが、日本のがん検診受診率は、男性では、胃がん、肺がん、大腸がん検診で3割程度であり、女性では乳がん、子宮がんを含め2割台と受診率が低く、北海道ではさらに低い受診率です。苫小牧市のがん検診受診率は平成20年度で胃がん5.2%、肺がん19.4%、大腸がん10.4%、乳がん(女性のみ)16.0%、子宮がん(女性のみ)16.4%です。国は平成18年のがん対策基本法で、がん検診の受診率を向上させる事をさだめ、がん対策推進基本計画の個別目標である「がん検診受診率50%以上」の達成に向け取り組んでいますが、成果はまだまだです。市町村では、健康増進事業として、胃がん検診(40歳以上、年1回、胃部エックス線検査)、肺がん検診(40歳以上、年1回、胸部エックス線検査および喀痰細胞診)、大腸がん検診(40歳以上、年1回、便潜血反応)、乳がん検診(40歳以上、2年に1回、視触診、マンモグラフィー)、子宮がん検診(20歳以上、2年に1回、細胞診)を実施し検診料を一部補助しています。さらに、特に受診率が低い女性特有のがんについては、一定の年齢の方を対象に検診の無料クーポンも配布されています(問い合せ:苫小牧市保健福祉部健康支援課、苫小牧市以外の方は最寄りの役場)。検診の機会・制度を有効に活用し、積極的にがん検診を受けることで、がんの早期発見・早期治療へつなげることが大事です。(各がん検診の詳しい内容は、最寄りの医療機関にご相談ください。)

2009年11月10日 苫小牧民報 掲載

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