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前立腺がんって怖いがんですか? ―特に早期がんについてー

前立腺がんって怖いがんですか? ―特に早期がんについてー

竹内 一郎

(苫小牧市医師会・苫小牧市立病院)

苫小牧民報読者の皆さま、日本人男性に一番多く見つかるがんは前立腺がんだってご存じですか。

国立がん研究センターの2021年データによると、1年間に診断された数は9万5584例で第1位。全体の17・2%を占めており、高齢者に多く、日本人男性の約9人に1人が生涯のうちに罹患(りかん)する可能性があると推定されています。ただ、がんによる死亡数でいうと肺、大腸、胃、膵臓(すいぞう)、前立腺の順でそれ程多い方ではなく、診断時転移がない患者さまでは5年以内に前立腺がんが原因で死亡される方はほぼ0%、転移があっても40%程度にとどまります。

特に前立腺がんの時に上昇するPSA(前立腺特異抗原)採血検査の普及により、早期に発見される方が増えました。早期がんの自覚症状としては排尿障害や頻尿といった年のせいかなと思う症状しかありません。検診でもかかりつけ医さんでも当たり前に検査してくれますので、何かのついでに採血してもらうことはお勧めです。

前立腺がんが疑われた際に泌尿器科外来でまず行われる検査は直腸診、エコー、MRIなどで、直腸診がちょっと嫌ですが、それ程痛い検査はなく、必要なら生検となります。不幸にも生検でがんと診断がついた際の治療は早期であれば手術ロボット「ダビンチ」を使用した腹腔鏡手術、放射線治療、内分泌療法(男性ホルモンを抑える治療、注射と飲み薬が一般的)いずれでも選択できます。ごく早期の患者さまでは監視療法(PSA採血と定期生検で経過観察、悪化した時点で治療に移行)を選ばれる方もいます。

ロボット手術に関して少し話をしますと、入院期間は10日から2週間程度、手術時間は全身麻酔で4時間程度かかりますが、出血も少なく輸血することはまれです。合併症として尿失禁と勃起障害はありますが、尿失禁はロボット導入前に比べ格段に減っており、手術直後から無い患者さまも結構いらっしゃいます。尿の出はすぐに改善します。

この手術は苫小牧では王子総合病院、市立病院で受けることが可能で、私の勤務している市立病院では早期で80歳程度までの全身麻酔が安全にできる、脳動脈瘤(りゅう)や重度の緑内障を合併していない患者さまには、任されたら第一選択でお勧めしています。

がんと診断されたらショックに感じるのは当たり前ですが、前立腺がんはきちんと治療すれば、それ程恐ろしいがんではないのです。皆さま、検診でのPSA採血値や排尿に異常を感じたら、勇気を出して泌尿器科を受診することをお勧めします。

2026年02月28日 苫小牧民報 掲載

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