帯状疱疹について
津田 昌明
(苫小牧市医師会・とまこまい北星 皮ふとからだのクリニック)
津田 昌明
(苫小牧市医師会・とまこまい北星 皮ふとからだのクリニック)
皮膚がピリピリするようになり、その後に水膨れや赤い斑点が体に生じた場合には、帯状疱疹(ほうしん)の疑いがあります。また、最近、テレビコマーシャルなどで帯状疱疹のワクチンについて聞く機会が増えています。そこで帯状疱疹の症状、経過、治療について説明します。
帯状疱疹は、水痘帯状疱疹ウイルスに初感染(いわゆる『水ぼうそう』)後、生涯にわたって神経に潜伏感染しているウイルスが、加齢、疲労、免疫抑制状態などの免疫力の低下によって再活性化して起こる病気です。発症する年齢は50歳代で増え、60歳代、70歳代に発症のピークが見られます。
症状は主に皮膚に分布している神経に沿って帯状に発疹が出現します。通常、かゆみもしくは痛みから発症し、2~3日後に赤いぶつぶつが出現し、その後も3~5日間にわたって新たな皮疹が出現します。ぶつぶつは水膨れになり、水膨れは膿がたまった膿疱(のうほう)になります。膿疱は破れ、ただれやえぐれた潰瘍に、それが乾いて10~15日ほどでかさぶたになります。かさぶたはやがて剥がれて約1カ月で正常に戻ります。免疫不全の状態では、皮疹が全身に広がることもあります。また、頭痛や発熱、倦怠感などの全身症状を生じる場合もあります。
治療は抗ウイルス薬を7日間,内服します。抗ウイルス薬は、帯状疱疹のウイルスの増殖を抑える働きをします。その他、炎症や痛みを減らす消炎鎮痛薬や、激しい痛みのある場合は神経に直接痛みを抑える薬剤を注射する「神経ブロック」を行うこともあります。治療中は激しい運動は避け、なるべく安静にするようにしてください。
帯状疱疹が重症化した場合、入院治療が必要となる場合があります。入院治療では、抗ウイルス薬の点滴と、消炎鎮痛薬の内服薬や塗り薬、水泡がつぶれて2次感染の可能性がある場合は、抗菌薬を使った治療が行われます。痛みは、数カ月ほどで改善する方が多いですが、後遺症として痛みが残ることもあります。
帯状疱疹の発症をワクチンで予防できます。50歳以上の方が対象になります。ワクチンを接種しておくことで、帯状疱疹の発症予防のみならず、発症してしまった場合でも軽症で済む、帯状疱疹後神経痛のリスクを劇的に軽減できるなどのメリットがあります。
帯状疱疹は早期の治療と合併症の管理が大切であり、発疹が出た場合にはすぐに医療機関を受診してください。まだかかっていない人も今後かかる可能性がありますので、ワクチンによる予防を考えてみてください。
年月日 苫小牧民報 掲載