白内障手術って本当に今よりも見えやすくなる!? 乱視や老眼は治らないの?
清水 恒輔
(苫小牧市医師会・苫小牧しみず眼科)
清水 恒輔
(苫小牧市医師会・苫小牧しみず眼科)
白内障とは虹彩(茶色目)の後ろに水晶体という部分があり、これが濁っていくことを白内障といいます。原因の大半は残念ながら加齢によるものです。
今の白内障手術は小さい傷で、白内障の濁りを吸い取り、その代わりに「眼内レンズ」を挿入する手術です。この手術は20年以上前から確立しており、どこの施設でもほぼ同じと思われます。
現在は挿入する「眼内レンズ」が非常に進化しています。
最も一般的なのは「単焦点レンズ」というものです。もちろん、このレンズも進化を遂げていますが、欠点としてはその名の通り「単焦点」なので1カ所にしかピントが合いません。遠くを裸眼で見えるようにすると近くは老眼鏡が必要になります。このレンズに関しては術後にいくらでも眼鏡で調整がきくので、今まで眼鏡をかけ慣れている方にはお薦めです。そして保険医療の範囲内での治療です。この中にも乱視を治すレンズもあります。
当然、裸眼で近くも遠くを見えることが理想と考える人も大勢いると思います。そのような方々には「多焦点眼内レンズ」という選択肢がございます。
文字通り遠くにも近くにもピントが合うレンズで術後に眼鏡をしたくないという方はこちらを選ばれます。
欠点としては、夜の運転などでの光の見え方に特徴があり、なかなかなじまない人がまれにいらっしゃること、通常の保険診療ではなく、「選定療養」という部類に入るのでレンズ代が手術代とは別途かかることが挙げられます。このレンズを使用するときは患者さまとよく相談して適応を決めています。
白内障手術は日本で年間140万件行われている手術です。
患者さまの希望も千差万別です。もし術後の見え方に希望がありましたら主治医に相談してみてはいかがでしょうか。2025年03月25日 苫小牧民報 掲載