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Medical column とまこまい医報

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離乳食から「補完食」へ

離乳食から「補完食」へ

藤林 伸助

(苫小牧市医師会・とまこまいこどもクリニック)

▽「補完食」とは

「補完食」という言葉を知っていますか? WHO(世界保健機関)が「離乳食」に代わる言葉として提唱したもので、母乳やミルクだけでは足りなくなる栄養を補うための食事のことです。離乳食は母乳やミルクなど液状のものを飲むことから固形の食べ物をかんで飲み込めるようにすることを主な目標にしていますが、補完食は栄養重視の考え方です。

▽いつから始めるか

生後5~6カ月までは母乳やミルクだけで十分なエネルギーと栄養素を得ることができます。しかし、それ以後は赤ちゃんの成長により母乳やミルクだけでは必要なエネルギーや栄養素が足りなくなります。それを補うのが「補完食」です。ですから母乳やミルクを減らす必要はありません。始めるタイミングは、赤ちゃんが①支えられれば安定して座れる②固形物を反射的に舌で押し出さなくなる③大人が食べる様子に興味を示す、などを参考にしてください。

▽何を補うのか

補うものは、エネルギー、鉄、亜鉛、ビタミンA、ビタミンC、カルシウムなどです。

薄過ぎるおかゆはカロリーが低く必要量を満たせません。スプーンの上にとどまるくらいの濃さが必要です。鉄は肉、赤身の魚、レバーなど(魚は必ずしも白身魚から始める必要はありません)、亜鉛は鶏肉、魚・貝類、卵黄、レバーなど、ビタミンAは卵黄・黄色野菜、緑食葉菜類など、ビタミンCは果物、野菜。カルシウムは乳製品、骨ごと食べられる魚などから摂取できます。6~8カ月は1日2~3回、9カ月~2歳未満は1日3~4回の食事と1~2回の間食で栄養補給します。

▽食べさせるこつは

①体を全部起こして背中とおしりが直角になるように座らせる。

②スプーンに少量の食材を載せ、視線を合わせて水平に口の真ん中から入れる。

③唇を越えてすぐのところ、または下の先端で止める。舌の前方3分の1から奥には入れない。

④赤ちゃんが唇を閉じたら水平に引き抜く(上あごにこすりつけない)。

補完食は特別なものではなく、赤ちゃんが家族と一緒の食事を食べられるまでの準備段階です。具だくさんのみそ汁、豚汁、煮物などを大人用の味付けをする前に取り分けておいてつぶして与えるなどすると手間がかかりません。市販のベビーフードなども上手に利用してもいいですね。何よりも、家族と赤ちゃんにとって食事の場が楽しいものであることが一番大事です。

2024年12月24日 苫小牧民報 掲載

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