健康寿命を延ばそう 自宅でできる簡単なリハビリ
細野 瑛
(苫小牧市医師会 ・苫小牧東病院)
細野 瑛
(苫小牧市医師会 ・苫小牧東病院)
皆さんは日常生活でどれぐらい運動していますか? 運動不足は、さまざまな健康問題を引き起こす原因となり得ます。そこで今回は、ご自宅で簡単にできる運動不足解消のリハビリテーションやその必要性について、ご説明いたします。
そもそもなぜ運動不足が体に悪いとされるのでしょう? 体重が増加しやすくなるから、生活習慣病のリスク因子にもなるから、体力が低下してしまうから…いろんな理由がありそうですよね。医学的にはどれも非常に重要なことですが、それらの原因は筋肉量が低下したり、血行不良が生じたりすることに集約しているといえます。筋肉量の低下は基礎代謝の低下を引き起こし、体重増加や体力の低下を招いてしまう可能性があります。
さらに関節が硬くなり、痛みや可動域の制限につながることがあります。血行不良が生じると、冷え性やむくみ、肩凝りなどの症状が出やすくなり、ストレスを抱えやすくなるリスクがあります。
最も恐ろしいのは心臓や肺の働きが弱まってしまうことです。これに伴って体力の低下や生活習慣病のリスクが高まってしまう可能性があります。年齢を重ねれば重ねるほど、外出や運動の機会は減少してしまいがちになり、さまざまな身体の変化が起こりやすくなります。運動不足は、これらの変化を加速させ、寝たきりや介護が必要になるリスクを高めてしまいます。
そこで今回は自宅で簡単にできる運動を幾つかご紹介しますので、ぜひきょうから実践していただければと思います。
①椅子に座ってできる運動
▽足踏み運動 椅子に座ったまま、足踏み運動を繰り返します▽足首回し 足首を大きく円を描くように回します▽腕回し 腕を大きく円を描くように回します▽体幹をひねる運動 椅子に座ったまま、上体を左右にひねります。
②立ち上がってできる運動
壁に手を付いて立ち上がり、ゆっくりと座る運動を繰り返します。次に足を肩幅に開いて立ち、ゆっくりとしゃがむ運動を繰り返します。片足でバランスを取り、数秒キープします。転倒してしまわないように、手すりなどがある場所で実施しましょう。
③ストレッチ
首を左右にゆっくりと倒します。次に肩を上下にゆっくりと動かします。腕を伸ばして、指先を足先につけるように前に伸ばします。足を前に出して、つま先を手でつかむようにします。
毎日続けることが重要ですので、それぞれの種目を10回10セットずつなどから開始し、少しずつセット数を増やすなどして負荷を徐々に上げるようにしましょう。
小まめな水分摂取を忘れず、痛みなどが生じた場合は速やかに中止するようにしてください。無理のない範囲から始めて、健康維持に不可欠な運動習慣を身に付けましょう。2024年10月29日 苫小牧民報 掲載