市民の皆様へ

Medical column とまこまい医報

とまこまい医報

お酒と肝臓

お酒と肝臓

小西 康平

(苫小牧市医師会・苫小牧日翔病院)

今回、皆さんにお伝えするのは、お酒と肝臓に関してのお話です。

 

1.お酒で酔いが生じる仕組み

皆さんがお酒を口にされる機会は様々だと思われますが、体内に入ったお酒はまず2割が胃から残りの8割は小腸からアルコールとして吸収されます。

このアルコールが脳に到達することにより、脳細胞の機能が鈍くなり酔いという状態になります。

酔いの段階としては、アルコール血中濃度が低い順に爽快期→ほろ酔い期→酩酊初期→酩酊期→泥酔期→昏睡期と進んでいき、昏睡期では生命そのものが危機的な状態となります。

 

2.お酒の適量

では、どの位の量ならば適量と言えるのでしょうか。一般的には純粋なアルコール量に換算して一日当たり20から25グラムが適量とされ、ビールなら400から500ml,日本酒ならおよそ1合程度となります。

これが男性で40g以上,女性で20g以上まで増加すると、肥満や高血圧などの生活習慣病にかかりやすくなり、男性で60g以上,女性で40以上では明らかに過剰であり、アルコール肝障害を来すと言われています。

適量な飲酒を行う事により、血液内の善玉コレステロール量増加や、ストレスのコントロールを行いやすくなるなどの利点を得られるようになります。

 

3.アルコールと肝臓

また一般に、お酒の飲みすぎは特に肝臓に悪いと良く言われますが、これは胃腸から吸収されたアルコールは肝臓で分解されるためです。

肝臓へと運ばれたアルコールは分解酵素により、アセトアルデヒドという物質に変化します(これは毒性の強い物質で、血管内で増加すると頭痛や動悸の原因となります)。

その後に酢酸を経て、最終的には水とニ酸化炭素にまで分解され、吐く息や尿となって体外へと排泄されます。

過剰な飲酒を長期間継続すると肝臓に脂肪が蓄積し脂肪肝となり、その後はアルコール性肝炎から最終的には肝硬変となってしまいます。

肝硬変にまで変化してしまうと、そこから禁酒しても元には戻らなくなってしまうので注意が必要です。

肝硬変には、出血すると生命の危機に陥ることもある食道静脈瘤や糖尿病、出血傾向などの合併症を伴う事があり、脂肪肝のうちから早めの対策が重要となります。

 

酒は百薬の長という言葉もあります。身近な存在である、お酒を上手に御活用下さい。

2024年06月11日 苫小牧民報 掲載

  • 医療・介護サービス提供マップ
  • 苫小牧看護専門学校
  • とまこまい医療介護連携センター
  • 公益社団法人 日本医師会公式チャンネル
ページの上部へ