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あなたが夜中にトイレに行く3つの原因

あなたが夜中にトイレに行く3つの原因

栗村 雄一郎

(苫小牧市医師会・こうよう泌尿器科クリニック)

夜間頻尿とは「夜間排尿のために1回以上起きなければならないという訴え」と定義されています。どのくらいの割合の方がこれに当てはまるかは様々な報告がありますが、一般的には若年者は10~30%、高齢者では40~80%とされており、加齢とともに夜中にトイレに行く方が多くなります。特に夜間に3回以上トイレに行く重度の夜間頻尿は75歳以上で多くなり、夜間の排尿回数が2回以上になると生活の質(QOL)が障害されるといわれています。

この夜間頻尿の原因は大きく分けて「膀胱蓄尿障害」「夜間多尿」「睡眠障害」の3つがあります。

「膀胱蓄尿障害」は前立腺肥大症や過活動膀胱などの病気によって膀胱に尿を溜めておけず、我慢できないためにすぐに排尿したくなる状態です。前立腺肥大症や過活動膀胱は加齢とともに増える病気ですがお薬での治療が可能であり、前立腺や膀胱の刺激を抑えることで膀胱にきちんと尿を我慢できるようになります。最近は体の負担の少ない前立腺肥大症の手術も行われるようになり、治療の選択肢が増えてきています。

「夜間多尿」は夜間に腎臓で作られる尿の量が増えてしまったために、排尿の回数が増えてしまう状態です。糖尿病、高血圧などの病気によって尿量が増えていることもありますが、必要以上に水分を取っているために尿量が増えていることもあります。高齢の方は夜間尿量が1日の尿量の1/3を超えた場合にこの夜間多尿と判断します。脳梗塞や脱水の予防のためにと必要以上に水分を取りすぎてしまい、夜間に何度もトイレに起きる原因となっています。水分摂取量と尿量のバランスを確認することで、適切な水分摂取量を守る必要があります。

「睡眠障害」は良好な睡眠が得られていないため夜間に目が覚めてしまい、目が覚めるたびにトイレに行きたくなる状態です。十分な睡眠の深度であれば目が覚めないような尿意でも、睡眠が浅く覚醒しやすくなっている方は目が覚めるたびにその尿意を自覚するため夜間頻尿となります。睡眠障害を改善するためには、昼間は日光を浴びて軽い運動を行ったり、お昼寝は午後3時までの30分間程度に済ませ就寝の3~4時間前からはアルコールやコーヒー・緑茶などのカフェインの入った飲料を避けたりするなど、日常生活の工夫で良好な睡眠を得ることができます。

夜間頻尿は、これらの3つの原因が関係しあって起こっています。ひとつずつ解決していくことで夜間頻尿を改善していくことができますので、ぜひ泌尿器科の先生と相談してみてください。

2024年05月15日 苫小牧民報 掲載

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