乳がん検診とブレスト・アウェアネス~早期発見で命を守ろう
角谷 昌俊
(苫小牧市医師会・王子総合病院)
角谷 昌俊
(苫小牧市医師会・王子総合病院)
乳がんにかかる女性は年々増加しており、年間9万人以上の方が新たに乳がんと診断され、女性のがんの第1位となっています。今や女性の9人に1人が生涯でかかるとされています。どの年代でもかかる可能性がありますが、30歳代後半から増加し、40歳代後半から50歳代前半にピークを迎えます。他の臓器のがんと比べると働き盛りや子育て世代の比較的若い方に多いことが特徴です。乳がんは早期発見、早期治療により治癒が見込め、早期に発見された場合の10年生存率は90%以上と治癒率の高いがんです。
早期発見のためには、乳がん検診を受けることが大切です。厚生労働省の指針では、40歳以上の女性に対しマンモグラフィを用いた2年に1回の検診が推奨されています。
マンモグラフィとは乳房専用のレントゲン検査で、圧迫板という薄い板の間に乳房を挟んで薄く引き延ばして撮影します。多少の痛みは伴いますが、触診では判別できない小さなしこりや乳がんのサインとなる微細な石灰化を発見でき、早期発見にとても有効です。ただし、乳腺が密な人、特に40歳代の方は、しこりがあってもマンモグラフィで見つけることが難しい場合があり、超音波検査を併用することで発見に役立つことがあります。
もう一つ早期発見の柱として「ブレスト・アウェアネス」があります。これは自分の乳房の状態に日頃から関心をもち、乳房を意識して生活することで、乳がんの早期発見・診断・治療につながる、女性にとって非常に重要な生活習慣のことです。1990年代の初めにイギリスで提唱された概念で、現在では乳がん早期発見の対策として、世界保健機関(WHO)などを通じて国際的に広まっています。
という四つの項目の実践が推奨されています。まずは、入浴や着替えの時などに、自分の乳房の状態をセルフチェックし、「いつもと変わりないかな?」と乳房を意識する時間を持つことが大切です。
2年に1回の乳がん検診と乳房を意識する生活習慣により、乳がんは早期に発見できます。命を守るためにも、ぜひ実践してみてください。
2023年11月28日 苫小牧民報 掲載