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Medical column とまこまい医報

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高血圧診療が変わる新ガイドライン

高血圧診療が変わる新ガイドライン

花輪 和夫

(苫小牧市医師会・花輪内科循環器科医院)

 日本高血圧学会は4~5年に1回高血圧診療ガイドラインを発表し、本年も1月発刊された。その新ガイドラインのポイントとして、①24時間厳格な降圧-家庭血圧を重視 ②慢性腎臓病(CKD),メタボリックシンドロームを危険因子として重視 ③Ca拮抗薬(CCB)、利尿薬、β遮断薬、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)5剤を第1選択薬とし、特に降圧目標達成のため2剤併用を推奨 ④仮面高血圧(自宅血圧値が高く、病院での血圧値は正常)、白衣高血圧(病院での血圧値は高く、自宅血圧値正常)診断のため自宅血圧測定、24時間自由行動下血圧測定(ABPM)を重視、があげられる。高血圧基準として、診察時血圧140/90mmHg、家庭血圧では135/85mmHgとしている。降圧目標は、若年、中年者は診察時130/85mmHg未満、高齢者(65歳以上)140/90mmHg未満、糖尿病、CKD、心筋梗塞それぞれの患者は130/80mmHg未満、脳血管障害患者140/90mmHg未満とした。また、血圧130~139/85~89mmHgである正常高値群も、糖尿病、CKD,心血管病等があれば生活習慣の改善とともに、直ちに薬物療法が必要であることが示された。糖尿病を伴った高血圧患者は、血圧130/80mmHg以上であれば、生活習慣の修正と、血糖管理と同時にACE阻害薬、ARBを第1選択薬とし、効果が不十分であれば、用量を増加するか、CCB、利尿薬を併用し、最終目標を130/80mmHg未満とする。CKDを合併する高血圧患者は、原疾患の治療及び生活習慣を是正し、腎機能、血清電解質、尿検査をチェックし、ACE阻害薬、ARBを第1選択薬とし、効果不十分であれば利尿薬、CCBを併用し、血圧130/80mmHg未満とし、尿たんぱくをできるだけ減少させる。高齢者高血圧患者は、生活習慣の修正と同時にCCB、ACE阻害薬/ARB、少量の利尿薬のいずれか1つを使用、降圧が十分でなければ、第2ステップとして2剤、第3ステップでは3剤併用し、140/90mmHg未満にする。そのさい降圧スピードは、副作用の発現に留意し、緩徐に心がける。


 初期高血圧の段階より積極的に治療介入し、臓器障害に陥らないようにする事が大事。そのために一般健康診断、特定健康診断を進んで受け、また、自宅血圧測定を行い、生活習慣の修正(塩分制限、野菜、果物をとり、コレステロール、飽和脂肪酸食を控える。減量、適度な運動、節酒、禁煙をする)を積極的に行い、血圧の上げないことが大切である。

2009年04月21日 苫小牧民報 掲載

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