2型糖尿病の薬物療法アルゴリズム
宮野 有希恵
(苫小牧市医師会・苫小牧市立病院)
宮野 有希恵
(苫小牧市医師会・苫小牧市立病院)
2型糖尿病の薬物療法アルゴリズム
ADA(米国糖尿病学会)では糖尿病診療ガイドラインが毎年発行されるが、日本では糖尿病治療ガイドが2年に1度発売しているが治療における薬物の優先順位を学会がこれまで提言することはなかった。その背景としては欧米と日本で糖尿病の病態が違うこと、日本では肥満が少なくインスリン分泌能が低いことなどが挙げられていた。
国立研究開発法人 国立国際医療研究センター(NCGM)の最初に処方された糖尿病薬のデータではメトホルミンは日本糖尿病学会認定施設で多く選択されており、DPP-4阻害薬は非認定施設で多く選択されていた。初回処方にビグアナイド薬が一切使われない日本糖尿病学会非認定教育施設が38.2%も存在していた。
2022年12月に糖尿病学会より2型糖尿病薬物療法アルゴリズムが発行された。
Step1ではインスリンの適応を除外し、Step2ではインスリン分泌BMI25以上、25未満で分類する。BMI25以上の症例ではインスリン分泌能が保たれていることが予想されるため、インスリン分泌を促進するグリニド薬、SU薬ではなく、インスリン抵抗性を改善するビグアナイド薬、体重を減少させるSGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬を優先的に選択する。Step3では慢性腎臓病、心不全、心血管疾患がある場合はSGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬を優先的に扱う。
2型糖尿病の薬物療法アルゴリズムが発表されたことにより糖尿病学会非認定施設、認定施設関係なく全ての医療機関で同様の糖尿病治療をうけることができ、糖尿病診療が向上することが願われる。
2023年02月14日 苫小牧民報 掲載