「性機能」気になりませんか?
松田 洋平
(苫小牧市医師会・苫小牧泌尿器科・循環器内科)
松田 洋平
(苫小牧市医師会・苫小牧泌尿器科・循環器内科)
今回のテーマは男性の性機能障害(勃起不全)についてです。医療コラムでは取り上げられる機会の少ない内容と思いますが、豆知識もありますので、男性のみならず、女性にも楽しんで読んで頂ければと思います。
まずは現状を確認しましょう。いきなりですが、「1年間に性交渉を何回していますか?」2005年に行われた世界41カ国を対象とした調査では、性交渉回数の世界平均は年間で103回と報告されています(一番回数が多かったのはギリシャで138回/年)。それでは日本人はどうでしょう?結果は45回/年。総じてアジア文化圏は欧米と比較して性交渉の回数は少ないのですが(中国は96回/年、シンガポールは73回/年となっています)、その中でも日本人は特に少ないようです。
では、勃起不全はどのくらいの割合で男性に認められるでしょうか?2002年に発表された国内の報告では、60歳代では概ね60%、70歳代では70%で勃起不全(中等度以上)を認めたと記されています。60歳代で60%、70歳代で70%、覚えやすいですね。
現時点で、勃起不全に対する治療薬として国内では3種類の薬剤が承認されています。知名度の高いバイアグラの主要成分はシルデナフィルです。このシルデナフィルは勃起不全の治療を目的に開発された薬剤ではありません。そもそもは狭心症の治療薬として1990年代前半にファイザー社が研究を重ね、副作用として勃起促進を認めたことから勃起不全治療薬として開発が進み、1998年に世界初の勃起不全治療薬としてアメリカで販売開始となりました(日本での1999年に販売開始)。続いて、バルデナフィルを主成分としたレビトラ(現在は販売中止/後発品あり)、タダラフィルを主成分としたシアリスが販売されています。ED治療薬は保険適応外なので比較的高価ではありますが、現在はジェネリック薬品(後発品)が販売されており、費用面のハードルは以前より下がっています。ここで大事な注意点を。インターネット上で安価な勃起不全治療薬(偽造品です)が販売されている場合があります。不衛生な環境で製造されたり、含まれる主成分の割合が不適切であったりしますので、必要な際は病院で診断を受けて購入して下さい。
健康寿命が延びた現在においては、性機能に対する関心が少しずつ高まっていると感じています。勃起不全治療薬は概ね70%の患者に効果があると報告されています。勃起機能で悩まれている方は一度、試してみる価値があると思いませんか?
2022年04月13日 苫小牧民報 掲載