ストレスだらけの現代社会をどう生き抜くか ―電磁波環境の悪化を防ぐ―
今井 浩之
(苫小牧市医師会・いまい内科クリニック)
今井 浩之
(苫小牧市医師会・いまい内科クリニック)
現代社会は忙しい。やらなければならない事がたくさんあって、やりたいこともたくさんある。「身の回りにある物を減らしてすっきりさせ、重要度の低い仕事や興味のない事はしないようにしよう。」そう思っても、かたづける時間がなかなかない。片付けても少し油断するとまた書類の山ができてしまう。そして次から次へと、期限を切って書類を提出しろとか、アンケートに答えてメールで返事をするよう迫られる。今書いているこの原稿も・・・。
今年の夏は、コロナ禍で患者さんの生活のリズムがおかしくなっているのもあるのだろう。朝起きられない、学校で授業中に起きていられないという中学生や高校生の来院が多かった。外出や旅行、クラブ活動などの制限でストレスがたまっているだけではなく、スマートフォンやゲームのしすぎなどもあるのではと疑っている。コロナの影響でテレワークや、学校の授業でもパソコンを使った授業などが増え、私たちの身の回りがますます電気製品だらけになってきている。
以前から薬による治療ばかりではなく、生活習慣や生活環境の改善が大事であることを診察の中でアドバイスしていたが、最近しだいに確信を持つようになった。抗アレルギー剤にステロイドの内服薬、強めのステロイド軟膏を使っているにもかかわらず、ほぼ全身の皮膚が真っ赤で相談にやって来た患者さんがいた。話を聞くとゲームが趣味で、ベッドの横にパソコンを置いて時間があればゲームをしていると言う。「電磁波の影響を減らすために携帯電話やパソコン、ゲーム機など電気製品を枕元やベッドの近くに置かずに遠ざけて下さい。ゲームをする時間を減らして下さい。」とアドバイスしたところ、「それなら死んだ方がましだ」と言う。では当院では治療できません、親元から独立してアパートを借りて暮らすようになってから悪化したとのことなので、実家に戻られたらどうですかとアドバイスした。半年後に診察ではなく挨拶に来たが、ひどかった湿疹がすっかり良くなっていた。「どうしたらそんなに良くなったのですか?」と聞いたところ親元から職場に通うようにしたとのこと。
私自身、朝から晩まで何台ものパソコンやモニター画面に囲まれて仕事や趣味や勉強をしている身ではある。だからこそできるだけ、特にベッドの周囲や枕元はモノを減らして、いつも電気製品に囲まれないように注意しています。そして仕事を忙しくし過ぎないようコントロールして、自分が本当にしたい事に時間が割けるよう、心と時間に余裕を持つようにしています。
2022年02月16日 苫小牧民報 掲載